川崎市上麻生保育園の第三者評価の結果
評価実施年月 | 平成19年12月 |
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公表年月 | 平成20年3月 |
対象サービス | 保育分野 |
法人名 | |
対象事業所 | 川崎市上麻生保育園 |
住所 | 〒215-0021 川崎市麻生区上麻生7-2-35 |
TEL・FAX | TEL:044-988-8520 FAX:044-988-8520 |
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総合評価
特に優れている点
1. 豊かな自然環境を活用しての保育の実践
自然に恵まれた静かな環境の中で、子どもは四季の彩りを感じながらのびのびと育っています。季節感ある食材、旬の物、食文化の伝承にいたるまでの対応ができています。焼き芋や干し柿作りの取り組みや食べる意欲を育てる対応、食事マナーの指導にはすばらしい保育の実践が伺えます。調理担当者との喫食も子どもにとってよい影響が感じられます。散歩保育を積極的に取り入れています。散歩中での挨拶は不審者や安全管理を考えると消極的になりがちですが、職員が進んで挨拶することで、挨拶の大切さの気づきにしています。散歩マニュアルをつくり事故防止に細心の注意を払っています。地域の人たちも大変協力的で、子どもの散歩に庭を開放してくれます。また、菜園作りの畑を無償で貸してくれます。豊かな自然環境の中で、子どもたちはおおらかに、子どもらしく育っています。
2. 充実した異年齢保育の取組み
3歳〜5歳の子どもを対象にして、異年齢保育を目的とした年間行事計画を策定しています。合同夏季保育や運動会、ゲーム大会、グループ別食事会、散歩など月ごとに実施しています。その中の伝承遊びは特徴的です。凧揚げ、こま回し、お手玉など昔からの子どもたちの遊びを題材にしてみんなで楽しんでいます。
3. 危機管理体制の取組み
地震・台風・火災など災害発生時の危機管理マニュアルを整備し、毎月避難訓練を実施しています。訓練は月ごとに点検項目を明確にして実施しています。また、事故防止のヒヤリハットの仕組みがあります。クラス別に職員の気づきを集計して事故防止に活用しています。遊具などの安全点検は、必ず職員3〜4名で毎月実施しています。衛生管理チェックリストを用いて衛生管理上の事故を防止しています。緊急時の保護者への連絡体制や緊急時の医療機関との連携体制が整備されています。
さらなる改善が望まれる点
1. 地域の関係機関との連携の強化
現在民生・児童委員や自治会等との定期的情報交換の場はありません。また、年長児の小学校との交流も必ずしも十分ではありません。地域の各種機関との計画的・継続的情報交換の場を設定する等、一層の連携強化を望みます。
評価領域ごとの特記事項
人権への配慮
子ども達が自由に意見を発言する雰囲気があり、一人ひとりの意見を受け止め、他の子どもの気持ちや意見が聞けるよう、声掛けや見守りをしています。一人ひとりを尊重することについては、幼児クラスでは、折に触れて話し合う場を設け気づきの促しをしています。人権への配慮やお互いの尊重については、子ども達同士の中で差別をしないよう配慮は怠りません。男女平等である人権意識は折々で配慮しています。性差について、子ども達に分かりやすいよう保育の中で配慮しています。現在、他国の生活習慣や考え方については、特別配慮をするようなことはありません。
個人のプライバシー情報等の機密情報の守秘義務に関して講習を実施して、職員の意識強化を図っています。個人ファイルは鍵をかけて管理しています。
児童虐待と疑われるような兆候を見つけたときには、すぐに報告する体制があり、保健福祉センターなど関係機関に動いてもらうこともあります。
安全点検や衛生管理について、職員は必ず3〜4名で見回わるなど、意識は高く、その取り組みは園独自です。
利用者の意思・可能性を尊重した自立生活支援
保育士は、子どもの年齢や個々にあわせた受け入れをしています。受容の仕方についても職員間で一貫性をもてるよう努め、クラス専任でない職員がパイプ役となるフォロー体制をとっています。基本的生活習慣については、子どもの自主性を尊重し、一人ひとりの発達に応じた援助・支援をしています。
子どもの発達、健康、生活状況については、登園時に説明し、また、乳児は連絡帳を使用し、幼児は必要に応じ手紙で知らせて家庭との連携を図っています。
延長保育の引継ぎは、園独自の保育引き継ぎ票を活用しています。怪我などのトラブルになってしまった子どもに対して、関わった職員が状況を説明し、いつでも保護者が、気軽に相談できるよう信頼関係の構築に努めています。
保護者の見学は、保護者の都合に合わせていつでも見学可能な状態です。また、祖父母にも声をかけるなど積極的に取り組んでいます。
行事や懇談会は、保護者が参加しやすいように事前に、園だよりや手紙で知らせています。行事後には、アンケートを実施して感想や意見を参考にしています。利用者アンケートでは、園行事の参加が幼児クラスからなので、乳児クラスの保護者からとても残念であると言う多くの意見がありました。乳児クラスも参加できることを望みます。
サービスマネジメントシステムの確立
川崎市子どもの権利に関する条例」を遵守し、人間として大切な子どもの7つの権利を保障することを、園の保育基本方針に謳っています。
指導計画は保育基本方針に基づき子どものケース検討記録とリンクして、一人ひとりの子どもの特質に配慮して作成しています。また、毎月の実施状況を評価し、職員会議で指導計画の評価状況を検討して、次の指導計画に活かしています。
毎年定期的に開催している保護者説明会やクラス別懇談会で保護者の意見、要望、苦情を確認しています。苦情窓口、苦情対応責任者を保護者に周知しています。また、苦情対応第三者委員を定めて苦情対応の透明性を高めています。
災害発生時の危機管理マニュアルがあり、緊急時の対応フローを整備しています。毎月非難訓練を実施しています。訓練は点検項目を明確にして実施しています。
事故防止のためのヒヤリハット管理の仕組みがあります。職員の気づき情報をクラス別に集計・分析して、事故防止に活かしています。
地域との交流・連携
小・中学生の職場体験学習の生徒やボランティア学生を受け入れています。実習生の受け入れは異年齢交流の機会と捉え、積極的に対応しています。
地域住民との良好な関係が保たれています。地域住民にさつま芋畑の提供を受けたり、散歩コースに個人の家の庭を開放してもらったりしています。
家庭保育福祉員との連携保育の協力体制があります。また、家庭で子育てをしている親子に園庭を開放したり、園の行事への参加を呼びかけたりして地域連携を推進しています。
年長児の小学校との交流は十分とは言えず、子どもの発達の連続性や異年齢交流の観点からも積極的対応が望まれます。
運営上の透明性の確保と継続性
保育理念や保育基本方針を明文化して職員に周知しています。また、園のしおりに掲載して保護者への周知を図っています。保育計画は保育理念、保育基本方針に基づき作成しています。毎年定期的に開催する保護者説明会やクラス別懇談会での保護者の意見や要望を保育計画に活かしています。
保護者に対する園情報の提供は、年に1回開催の保護者説明会やクラス別懇談会で実施しています。園だよりや各種行事のパンフレット、掲示板を活用して保護者や地域住民に園の活動情報を提供しています。園だよりは保護者に配布するだけではなく、地域の関係機関や関係者に配布して園の活動内容を紹介しています。
運営改善の課題はリーダ会議、職員会議で提起し対策を検討しています。課題対策の実施状況については期ごとに見直しを行っています。年に1回家族アンケートを実施して保護者の施設運営に関する要望や課題の把握に努めています。
職員の資質向上の促進
職員の資質向上に努めています。研修計画及び実効は職員の経験年数を考慮して、市の指導に従って実施しています。研修内容も保育士、栄養士研修、調理や食品衛生に関するものなど多岐に及んでいます。職員の担当職務の決定について、本人の希望を尊重する仕組みがあります。人材育成計画に職員の意見・希望を反映することに努めています。
年に4回園長が職員と個別に面談して職員の就業に関する意見や希望の確認を行なっています。職員が意見を自由に言える仕組みがあります。