川崎市下小田中保育園の第三者評価の結果
評価実施年月 | 平成20年1月 |
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公表年月 | 平成20年3月 |
対象サービス | 保育分野 |
法人名 | 川崎市下小田中保育園 |
対象事業所 | |
住所 | 〒211-0041 川崎市中原区下小田中4-4-17 |
TEL・FAX | TEL:044-788-5890 FAX:044-788-5890 |
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総合評価
得に優れている点
1. ますます期待が膨らむ異年齢保育の実践
異年齢保育は、この園の保育の特徴的な取り組みのひとつです。0歳児から5歳児までの子ども達に意図的に保育士が働きかけ、かかわりが持てるように保育をします。子ども同士が無意識に年齢の幅を超えて、しだいに関われるようになります。全園児を覚え、誰一人無関心ではいられなくなります。子ども達同士が、どの子どもに対しても名前で呼ぶようになります。そのため約束事を守る意識が自然と芽生えます。いつの間にか靴履きを手伝っている姿を見るようになります。異年齢保育を通してそれぞれの年齢に良い影響が出ています。今は、自由遊びの中で子ども同士の関わりができています。今後一斉保育の中に日常的に組み込んでいくことを考えています。ますます期待が膨らんでいきます。また、職員が全園児を掌握できることもこの取り組みの利点です。
2. "食育への取り組み"は園全体で大切に育まれています
成長にあわせて、季節や食物への関心を高める工夫が見られます。特に日本の食文化を大切に伝えようと努力しています。食べ方など図解を見せて関心を持ち、箸で上手に食べられるように取り組んでいます。0歳児にはふちが立ち上がった食器を使用して、自分で食べる喜びから食への関心を促進させ、4・5歳児ではバイキングにして自分が食べられる量を知り、残さないで食べることを学ぶなど目標を具現化しています。ランチョンマットには食事の配置を絵にして、正しい置き方を学びます。畑や園庭で育てた収穫物を味わいます。梅やイチゴは熟して良い香りを楽しみ収穫してジャムにします。保護者に協力を得て主食にパンを持参して味わっています。
3. 保護者の子育て支援と連携
保護者会が管理する掲示板や文集作りなどの活動の尊重や、家庭に給食のレシピを提供して食のつながりが持てるようにしたり、親子で本選びをする貸し出し園文庫など親子のつながりや保護者へ専門職を十分に活用してもらえるような連携を築く努力をしています。
さらなる改善が望まれる点
1. 新しい風を吹き込ませましょう
園長の考えの中に、新しい風の必要性を感じています。園として独自予算を持たないため新しい風を入れたくても制限があります。外部講師の派遣など、職員で知恵を出し合い開拓して風を吹き込ませてください。また、地域の関係機関との連携の強化として民生・児童委員や自治会等との定期的情報交換の場はありません。地域の各種機関との計画的・継続的情報交換の場を設定する等、一層の連携を望みます。
2. 園庭が広くなります
プールの取り壊しで園庭が広くなります。待機児解消に合わせて、子どもにとって、また地域の子育てにとって新しい側面が生まれるきっかけになります。園庭の活用を考える上で視野を広く持った整備を期待します。
評価領域ごとの特記事項
人権への配慮
「川崎市子どもの権利に関する条例」をもとに、毎年話し合いをし、 "友達と楽しく遊べる"、"意欲のある子ども"、"心豊かな子ども"を園目標に、子どもが自分の思いを伝え、自分で考え、互いに尊重する心、ほっとできる環境を大切にした保育を実践しています。
職員の個人情報の扱いについての配慮はもちろんですが、保護者間でも必要以上に公開されないような配慮や外部者への対応も行っています。
毎年の各マニュアルの見直しを機に、確認をしていますが、いつもの状態の把握・複数の目と判断・連携とケースに合わせた対応が大切と捉え、常に保育の中で緊張を持って観察することや、保育者に声をかけていくことが保育の向上や虐待の防止につながっています。
子どもの目線に立って、子どもの思いを受け止める姿勢があり、食育を通して、子ども自身が考えたり実行できるように保育を行っています。職員の意識は高いので保護者への啓蒙も更に強化していくことを望みます。
利用者の意思・可能性を尊重した自立生活支援
異年齢保育は、園の保育の特徴的な取り組みです。異年齢保育を通してそれぞれの年齢に良い影響が出ています。また、担任外の保育士とのコミュニケーションは異年齢交流を始めてから、深まりつつあるようです。保育士同士の連携は密に取れ、子ども一人ひとりに保育士が皆で関わろうとしています。
子どもの性格や発達の状況に応じて、その個人差を受け止め、尊重しながら対応しています。子どもの様子や状況をつかみ、褒めることで自信づけを図り、生活習慣の確立に向けた保育を心がけています。
"食育への取り組み"は"今後も取り組みたい課題" にもあげ継続して取り組んでいます。成長の段階にあわせて、生活の中に取り入れて季節や食物への関心を高める工夫が見られます。保育参観、懇談会、個人面談はその場で保護者からの意見やアンケートなど聴取に努めています。
サービスマネジメントシステムの確立
保育理念や基本方針に基づき、前年度の反省をもとに、保育計画を作成しています。保育内容は、各職員と多くの話し合い点検・評価を行っています。会議の場にこだわらず日々向上の提案ができるような雰囲気をつくっています。保育内容の点検と職員育成に力を注いでいます。保護者の意見を聞くために懇談会や個人面談を行い、その意見や相談内容は担任はじめ、会議で周知しています。
登降時に話しやすいよう職員からの声がけや、事務室の入りやすいよう配慮しています。苦情に対しては敏速に対応しています。
園内研修グループ「危機管理」グループを中心に緊急マニュアル・災害時マニュアル・怪我、事故マニュアルを作成し、定期的に避難訓練や危機管理訓練を行っています。散歩時には独自の散歩マップを作成し安全対策に心がけています。
ヒヤリハットを作成し、原因を究明し、防止に努めています。
地域との交流・連携
実習生等の受け入れにあたっては、マニュアルを整備し、職員に周知し、子ども達や保護者には掲示板にてお知らせをして多くの実習生を受け入れています。受け入れの意義や方針についてわかりやすい掲示と保護者説明会での伝達を今後検討していきます。
地域関係機関とは、情報交換や情報収集は積極的に行い交流を図っています。保護者には専門機関の情報提供をしています。
立地条件による、小学校との関わりが限られています。異年齢交流の観点からも積極的な関わりを望みます。
また、民生・児童委員や自治会等の交流も季節行事等を通して交流が図れる機会を設けることを期待します。
運営上の透明性の確保と継続性
守秘義務や社会福祉事業に従事する者の倫理については会議で全職員に周知しています。経営改善は定期的な様々な会議で行い、独自予算を持たないなか、役所とのつながりを密にして職員が運営に関して知恵を出し合い、実現のため力を注いでいます。保育において職員が主流となって討議する姿勢が開放的な保育・職員連携の原点になっています。
人事評価で各職員の目標や課題点などを明確にする機会があり、職員はそれに向かい遂行しています。
保護者とは、園の運営状況については、保護者役員会にて公開し、改善にあたっては、園独自で利用者アンケートをとり役立てています。
職員の資質向上の促進
職員は園内研修を活発に行っています。園長は、市主催の研修をはじめ各種の研修に積極的に参加できるような配慮をしています。各種マニュアルの見直しは内部研修にもなっています。新人職員の育成への意識が高く、経験豊かな職員からの学びが新人職員の日々の研修になり、外部研修にも均等に行き、報告会を開き共通の学びにしています。
リーダーの取りまとめや園長との個人面談にこだわらず普段から要望・提案をオープンにしており、直接園長へ話せる雰囲気があります。
乳児・幼児会議、全体会議、食育グループ・危機管理グループ・環境グループなど多くの話し合いの場を通じて点検評価も行い、コミュニケーションが活発になり会議の場だけにこだわらず日々向上への提案ができる雰囲気も作っています。