神奈川県立中井やまゆり園の第三者評価の結果
評価実施年月 | 平成22年1月 |
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公表年月 | 平成22年3月 |
対象サービス | 生活介護・短期入所・施設入所支援・自立訓練 |
法人名 | |
対象事業所 | 神奈川県立中井やまゆり園 |
住所 | 〒259-0157 足柄上郡中井町境218 |
TEL・FAX | TEL:0465−81−0288 FAX:0465−81−3703 |
ホームページ | http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/13/1356/nakaya/index.html |
総合評価
優れている点・独自に工夫している点
- 中井やまゆり園の基本理念に「@人としての尊厳を重んじ、利用者本位のサービスの提供に努める。A一人ひとりの個性に応じた豊かな地域生活を目指す。B専門的、広域的、先駆的な県立施設の役割を推進する。」を掲げ、職員の行動規範として「やさしさいっぱい15の約束」を定め、人権に配慮した利用者本位のサービスの提供を実践している。
- 県の中核施設として、他の施設では受入れが難しい強度行動障害の方など、重度の障害を持つ方を積極的に受入れている。5つの男性寮と2つの女性寮があり、寮内は2つのユニットに分かれている。障害の特性を捉えた寮編成のもと、寮ごとに利用者の個別性に配慮した支援を展開している。
- 成年後見制度の利用を促進し、現在、97%の利用者が制度を活用している。利用者の権利擁護に積極的に取り組んでいる。
- 第三者委員が年5回、KWネット(オンブズマン)の相談員が年6回施設を訪れ、利用者の意見や要望を汲み取っている。利用者の会として「ドーナッツグループ」も活動している。
- 家族会が月1回開催され、毎回70〜80人の家族・後見人が参加している。施設内に家族会のスタッフルームがあり、家族会の事務局員が利用者の通帳や印鑑の管理、金融機関との遣り取りを行っている。家族会は行事の参加やボランティア等、活発に活動している。玄関フロア奥には家族の連絡コーナーがあり、情報を提供している。
- 選択メニューやバイキング形式の食事、「リクエストメニューの日」等を定期的に実施し、食事支援の取り組みを行っている。入浴は原則夕食後に実施し、利用者の日課が同じになるよう配慮し、利用者の安定を図ることができるよう支援している。
- 余暇活動については、地域のボランティアの協力を得てクラブ活動を実施する他、「ドライブ倶楽部」として、公用車を利用した外出支援を週1回程度行っている。
- 医療法に基づき診療所を設置し、医務課として位置付けている。看護師が1日3回、各寮を巡回し、利用者の健康状態の把握を行っている。
- 平日の日中活動は、機能訓練が必要なグループ、強度行動障害や自閉的傾向が強い方への支援が必要なグループ、それ以外のグループに分けるなど、8班に分かれた体制で活動している。それぞれの利用者、班の状況、特性に応じて歩行訓練、機能訓練、自立課題訓練、受注作業等を行っている。受注作業では、ボールペンの組み立て等を行っている。
- 県内唯一(政令都市を除く)の発達障害支援センターとして、「発達障害支援センターかながわA(エース)」を置き、地域の相談支援事業等を関係機関と連携して行うとともに、地域の支援体制作りに取り組んでいる。
- 強度行動障害の中核施設として、多くの実習生の受入れを行っている。施設研修(現任研修)として、県内外の施設職員が、実習を通した研修に参加している。
- 利用者の地域生活移行を支援するため、利用者の生活訓練として、寮生活から離れて1日を過ごすプログラムを実施している。また他施設の協力を得て、ケアホームの体験入所も行っている。地域移行後も安心して生活できるように、移行先を訪問したり、帰宅先のない利用者へ短期里帰りを実施する等、アフターフォロー事業を展開し、地域生活の移行を支援している。
- 22年3月から、第三者委員や家族、地域の方などの構成による「運営懇話会(仮称)」を開催する予定で、地域に開かれた施設を目指した取り組みを行っている。
改善すべき事項
- 「施設サービス自己評価」等にて自己評価を実施しているが、自己評価の最終評価に、第三者が参加し、評価を受けることも必要と思われる。
評価領域ごとの特記事項
人権への配慮
- 職員会議の中で、「人権に配慮した利用者支援について」というテーマで研修を行っている。
- 「人権に関するマニュアル」を定め、プライバシー保護の基本姿勢や具体的な取り組みを規定している。マニュアルは各セクションに配布され、いつでも内容を確認できるようにしている。人権委員会を中心に、寮会議等各セクション会議においても周知を図っている。
- 個人情報の保護については、職員は個人情報保護の誓約書にサインし、実習生等の受入れに際しても、オリエンテーション時に説明し、利用者の個人情報を守るよう書面にて確認を行っている。
- 成年後見制度の利用を積極的に促進し、現在、利用者の97%が制度を活用している。
利用者の意思・可能性を尊重した自立生活支援
- 「施設入所支援・利用者アセスメント票」を用い利用者の状況を把握し、個別支援計画書を策定している。具体的な計画は「個別支援計画作成マニュアル」に沿って行い、「利用者本人の意向」や「後見人及び家族の意向」欄を設け、具体的な支援方法に繋げている。
- 利用者のニーズの把握は、利用者と日常接している担当者が気持ちを汲み取っている。第三者委員が年5回、オンブズマン(KWネット)の相談員が年6回訪れ、利用者の希望や要望等を聞いている。
- 家族会が毎月開催されている。全体家族会の後に各寮別懇談会が行われ、情報の伝達や交流が行われている。また、個別面接の際には、個別の相談に応じたり、情報提供や説明を行っている。
- 利用者の会として「ドーナッツグループ」があり、そこで意見や要望を言うこともできる。
- 利用者個人の特性を活かし、本人の強みを伸ばす内容の活動を提供し、エンパワメントの視点に基づき、利用者の要望や意見に沿った生活を送ることができるよう個別支援計画を策定している。
- 個別支援計画は通常6ケ月に1回モニタリングを行い、見直しや改善が行われている。利用者の状態に変化があった場合には、随時アセスメントを行っている。
サービスマネジメントシステムの確立
- 苦情解決窓口については、園の掲示板や各寮に、苦情受付担当者、苦情解決責任者、第三者委員2名を顔写真入りで掲示し、利用者や家族に周知している。第三者委員が定期的に施設を訪れる他、オンブズマン(KWネット)の相談員も定期的に訪れている。
- インシデントが発生した場合には、確認した職員がヒヤリハット報告書に記載して、セクションのリスクマネジメント委員に提出している。内容は寮会議でまとめ、毎月開催される「リスクデータ評価会議」の場で対応策を検討している。アクシデントについても、同様の対応をしている。
- 各支援マニュアルは、各寮の職員室に整備し、いつでも内容を確認できるようにしている。マニュアルの内容は、寮会議で周知している。新任職員については、担当職員が指導していく中で、マニュアルの確認を促している。
- 「感染症マニュアル」を整備し、感染症の予防に努めるとともに、感染症発生時の具体的な対応手順を明記している。インフルエンザなど突発の場合の発生に対しては、臨時の「危機管理対策会議」を開催し、迅速に対応している。
- 救命救急時対応については、「緊急時対応マニュアル」に明文化している。夜間については「夜間・緊急時対応マニュアル」を定め、夜勤者が対応している。
地域との交流・連携
- ボランティア室を設置し、ボランティア活動が活発に行われるよう配慮している。平成20年度には、14団体の延べ900人のボランティアの活動があった。「ボランティア受入れ要領」を作成し、中・高校生の体験ボランティアの受入れも行っている。
- 地域の小学生などを対象に、「かながわ子どもワクワク体験プロジェクト」を実施している。体験プロジェクトは毎年開催し、ふれあいステンシル教室を行っている。
- 地域の方や民生委員の見学を受入れている。また、強度行動障害や感染症について、園内で公開講座を開催し、地域の施設職員や関係機関が参加できる場を提供している。
- 地域の行事に職員が参加している。昨年度は、近くの中井中央公園で開催された「美緑フェスティバル」に模擬店を出店し、地域の行事に参加した。
- 県内唯一(政令都市を除く)の発達障害支援センターとして「発達障害支援センターかながわA(エース)」を置き、地域の相談支援事業等を関係機関と連携して行うとともに、地域の支援体制作りに取り組んでいる。
運営上の透明性の確保と継続性
- 園独自の「施設サービス自己評価」により、年1回、全職員で提供するサービス内容等の自己評価を行っている。第三者委員やオンブズマンの相談員に内容を説明している。また、「やさしさいっぱいチェックリスト」を用いて、自己評価を行っている。
- 毎年実施している「施設サービス自己評価」の結果は、家族会役員会にて、内容を説明している。今回の第三者評価の結果については、3月の家族会にて、評価機関を招き説明をする予定である。
- 県立の施設で、理事会や評議員会がないため、22年3月から、第三者委員や家族、地域の方などの構成による「運営懇話会(仮称)」を開催する予定で、自己評価結果や第三者評価結果の報告を行っていく予定である。
職員の資質向上の促進
- 運営計画に、基本理念及び運営の基本方針、運営の重点課題を明記している。職員への周知は、新採用職員のオリエンテーションや運営会議、課寮班長会議の場で行っている。
- 階層別研修については県で計画され、年度当初に該当職員が選択することになっている。園内の階層別研修は4階層に分れ、研修を体系化して実施している。
- 外部研修の参加後は復命書を提出し、回覧したり実践報告会で研修内容を発表している。復命書は「園外研修(復命)」として綴り、いつでも閲覧できるようにしている。
- 実習生の受入れは「受入れ要領」に基づき、担当者を決めて行っている。また、強度行動障害の中核施設として、多くの実習生の受入れを行っている。施設研修(現任研修)として、県内外の施設職員の実習参加も多い。
評価結果詳細
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