津久井やまゆり園の第三者評価の結果
評価実施年月 | 平成22年7月 |
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公表年月 | 平成22年9月 |
対象サービス | 障害者自立支援法に基づく施設入所支援、生活介護、短期入所、共同生活介護、相談支援事業 |
法人名 | 社会福祉法人かながわ共同会 |
対象事業所 | 津久井やまゆり園 |
住所 | 〒252-0174 相模原市緑区千木良476 |
TEL・FAX | TEL:042-684-3511 FAX:042-684-4680 |
ホームページ | http://www.kyoudoukai.jp/tsukui/ |
総合評価
優れている点・独自に取り組んでいる点
- 社会福祉法人かながわ共同会の基本理念を基に、津久井やまゆり園重点目標を策定し、人権擁護に配慮した利用者支援や利用者本位の日中活動の充実など、一人ひとりの個性を大切にした支援を展開している。
- 「困ったときの津久井やまゆり園」として、多様なニーズを持った利用者を受け入れている。利用者は障害の特性に応じ、4課8ホームに分かれて生活を送っている。各ホームでは、毎月、ホーム会議やモニタリング会議を開催し、利用者一人ひとりの状態の変化や援助内容を、きめ細かく確認、検討し、支援にあたっている。全職員が「明るく元気に」行動することをモットーとしている。
- 利用者が快適に過ごすことができるよう、各居室に単独のエアコンを設置している。また、利用者の身体状況に応じて、居室を和式から洋式に改修するなど、園での生活がふつうの暮らしとなるよう、サポートを行っている。
- 「相模原オンブズマンネットワーク」に参画し、毎月、オンブズマンが訪問する他、第三者委員も月に1回訪れ、利用者の意見や要望を汲み取っている。利用者自治会も活動している。
- 食事の提供は、利用者の特性に応じて、常食やエネルギー制限食、たんぱく制限食、低残渣食などの食種や、一口大、きざみ、ペースト食などの食形態を用意し、「利用者食事形態票」で内容をまとめている。温かいものは温かく、冷たいものは冷たくして利用者に提供するために、温冷配膳車を配置している。利用者全員が歯科医の摂食機能診断を受け、誤嚥を防止し、適切な食事を提供できるようにしている。
- 入浴は、利用者の生活リズムに配慮して、毎日、実施している。肢体不自由などにより、各ホーム内での浴槽の使用が困難な利用者については、すべてのホームの協力体制の下、日中の時間帯に、機械浴を行っている。
- 利用者の障害特性に応じた日中活動の支援が行われている。障害を個性として捉え、一人ひとりの個性に合った作業を提供し、利用者の満足感や生きがいを生み出せるように支援している。今年度は6グループに分れ、日中活動を実施している。グループごとに年間計画を策定し、活動目標を定め、具体的な取り組みを行っている。
- 日中活動において、機能維持訓練や歩行、リラクゼーション活動を行うグループは、整形外科医や理学療法士などのアドバイスを受けている。運動量確保のための歩行を中心とするグループは、利用者のペースを尊重し、職員がマンツーマンでサポートしている。その他、自主製品(リース・腕輪・刺繍)の製作や、アルミ缶リサイクルの受注作業、農作業などを行っている。
- 園内に診療所があり、看護課の看護師が利用者の健康管理を行っている。健康委員会を設置し、利用者個々の健康状態の把握や定期的な健康診断を実施している。また、利用者全員の「健康カード」を作成し、急変時に備えている。「緊急時医療対応表」や「夜間緊急時医療対応表」を整備している。
- 職員3名が応急手当普及員の資格を取得して、園内で普通救命救急講習や、誤嚥時の緊急対応の講習を実施している。職員は人工呼吸用携帯マスクを常に携帯し、緊急時の迅速な対応に備えている。
- 地域福祉の活性化に積極的に取り組んでいる。誰もが安心して暮らすことができる地域福祉を目指し、様々な情報を発信し、地域福祉の活性化を実践している。障害相談窓口を設置し、障害者本人・家族の意向を聴き取り、地域で安心して過ごすことができるよう支援している。
- 地域で生活する障害をもつ方たちの個々のニーズに応じた施設短期利用及び日中一時支援を促進している。児童支援にも積極的に対応している。
- 園開設時より、地域との結びつきが強く、園内にボランティア室を設け、ボランティアの受け入れを行っている。地域との交流を図るため、年4回、地域交流コンサートを開催している。また、「つくいフォーラム」を開催し、障害者福祉の理解、促進に取り組んでいる。地域に向けての出前講座も実施し、救命救急講習会「すこやかサービス」を、年18回開催している。
- 地域での自立を目指し、ケアホームの設置・運営や生活介護事業所の開設などに取り組み、地域に根付いた福祉を展開している。
評価領域ごとの特記事項
人権への配慮
- 「かながわ共同会職員行動の指針」や「あおぞらプランU」について職員研修を行い、利用者に対しての適切な呼称など、職員の人権教育を行っている。
- 毎月、「支援指針パンフレット−はじめのいっぽ−」から人権目標を立てている。ホーム会議や課会議などで目標に対しての振り返りを行い、良かった点、改善すべき点などを確認している。会議での意見は、翌月のあおぞら委員会で報告し、園全体で振り返りを行っている。
- 個人情報の保護については、「個人情報保護に関する職員マニュアル」や「プライバシーポリシー」を作成し、遵守している。関係機関への連絡の際も、利用者の個人情報は必要最小限、提供している。
- 外部からの訪問は、事前に利用者に説明し承諾を得ている。実習生などの受け入れに際しても、オリエンテーションを行い、個人情報の保護について説明している。
利用者の意思・可能性を尊重した自立生活支援
- 「利用者アセスメント票」を用い、健康状態から生活スキルまでの利用者の状況を把握し、個別支援計画書を策定している。個別支援計画書は、「個別支援計画フローチャート」や「個別支援計画書の流れ」に沿って策定し、「本人の意向」や「家族等の希望」を基に、総合的な支援の方針を立てている。
- 利用者のニーズは、各生活ホームでの日常の場面や利用者自治会などで把握している。また、月に1回、「オンブズマン相談会」を実施し、利用者のニーズを把握している。
- 個別支援計画書は、半年ごとに評価を行い、内容を家族に説明し、同意、確認をとっている。家族会開催時には、ホーム懇談会を実施し、意向の把握や情報の共有に努めている。
- 「利用者アセスメント票」の「生活スキル」や「余暇活動」にて状況を把握し、エンパワメントの視点で、本人の能力を伸ばせるような個別支援計画書を策定している。
- 個別支援計画書は、半年に1回、評価を行う他、健康状態の変化などで、現状の支援計画の変更が必要な場合には、その段階で内容を評価し、見直しを行っている。
サービスマネジメントシステムの確立
- 苦情解決の取り組みとして、苦情解決システムのポスターを園内に掲示している。苦情解決担当者、苦情解決責任者、第三者委員2名を顔写真入りで掲示し、利用者や家族に周知している。第三者委員が、毎月、園を訪れる他、オンブズマンの相談員も月に1回、定期的に訪れている。
- インシデントが発生した場合には、「ヒヤリハット報告書」にて報告し、内容を分析している。職員にすぐに周知した方がよい時には、朝の連絡会で内容を報告している。アクシデントについても、「事故報告書」を提出し、同様の対応をしている。インシデントやアクシデントの分析と対応策は、クオリティーマネジメント委員会(QM委員会)にて行っている。
- 各支援マニュアルは、各生活課のホームごとに整備し、いつでも内容を確認できるようにしている。月1回開催されるホーム会議やモニタリング会議で、利用者一人ひとりの状態の変化や援助内容を、きめ細かく確認している。
- 「感染症マニュアル」を整備し、感染症の予防に努めるとともに、感染症発生時の具体的な対応手順を定めている。新型インフルエンザの対応については、「新型インフルエンザ対応マニュアル」を整備している。
- 救命救急時の対応については、職員が相模原市消防署の応急手当普及員の資格を取得して、他の職員への普通救命講習や、誤嚥時の窒息対応の講習を園内で開催している。「緊急時医療対応表」や「夜間緊急時医療対応表」を作成し、各ホームに配布し周知している。また、職員が人工呼吸用携帯マスクを常に携帯し、緊急時の迅速な対応に備えている。
- 防災につては、「消防計画」や「津久井やまゆり園防災マニュアル」により、定期的に訓練などを実施している。地域での災害発生に備え、「地域防災ネットワーク推進事業」にも取り組んでいる。
地域との交流・連携
- 園内にボランティア室を設け、ボランティア担当職員(兼任)を3名配置し、ボランティアの受け入れを積極的に行っている。園開設時より地域との結びつきが強く、多くのボランティアが活動している。
- 年4回、地域交流コンサートを開催し、地域の方を招き交流を行っている。昨年度はピアノコンサートや童謡歌手のコンサートを実施した。また、「つくいフォーラム」を開催し、障害者福祉の理解、促進に取り組んでいる。
- 地域に向けての出前講座として、救命救急講習会「すこやかサービス」を、年18回開催している。
- 体育館の利用などを、地域に開放している。納涼祭や、やまゆり祭などの園3大行事には、園のグランドなどを使用し、ボランティアや地域の方の参加を広く呼び掛けている。
- 近隣の小学校の児童と協力し、地域の清掃活動を利用者が行う「美化デー」を定期的に実施している。
- 地元の自治会行事や会合に参加し、意見交換を行っている。地元の消防団に職員を派遣し、地域の活動に参加している。
- 「相談支援事業及び相模原市障害者相談支援事業」として、地域に向けて相談窓口を設置し、来所・訪問相談事業に取り組んでいる。
運営上の透明性の確保と継続性
- 社会福祉法人かながわ共同会のホームページに法人の理念、基本方針、職員行動指針を掲げ、法人の取り組みの姿勢を示すことで、開かれた施設運営を実践している。
- 職員、家族、実習生に「人権擁護アンケート」を実施し、アンケート結果をもとに各課で話し合いを行い、次の取り組みにつなげている。
- 今回の第三者評価の受審結果は、家族会での説明や、法人のホームページや機関紙などへの掲載を通して、内容を公開していく予定である。
職員の資質向上の促進
- 年間運営計画に、法人の基本理念や重点目標を明記している。職員への周知は、年度初回の全体職員会議で運営計画を全職員に配布している。新規採用職員や法人内他園異動職員には、新規採用オリエンテーションで読み合わせを行い、内容を周知している。
- 階層別研修については、法人事務局企画研修部が、法人内常勤職員全員を対象に、毎年度、計画的に企画している。
- 研修委員会を月1回開催し、外部及び内部研修のとりまとめを行っている。外部研修参加後は、復命書をファイルに綴じ、いつでも閲覧できるようにしている。
- 法人内の合同研修に職員が参加する際も、法人全体でスーツの着用をするなど服装にも気を配り、めりはりのある研修となるよう心掛けている。
- 実習生の受け入れは、「学生等実習実施要領」や「受け入れ指針」に基づき、担当者を決めて行っている。実習生はゲストハウスを利用して、宿泊も可能となっている。
評価結果詳細
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