神奈川県社会福祉士について

障害者支援センター多機能型事業所の結果

評価実施年月 平成24年10月〜平成25年3月
公表年月 平成25年 3月
対象サービス 生活介護 自立訓練(生活訓練) 就労移行支援 就労継続支援 B型
法人名 社会福祉法人相模原市社会福祉事業団
対象事業所 障害者支援センター多機能型事業所
住所 〒 252-0223 相模原市中央区松が丘1−23−1
TEL・FAX TEL:042-758-2121 FAX:042-758-7070
ホームページ http://www.sagamihara-shafuku.or.jp/matu1.html#takinou

総合評価

優れている点・独自に取り組んでいる点

  • 医療的ケアの必要な利用者を積極的に受け入れ、常時介護が必要な障がい者が地域で安定した生活を送れるように支援している。生活介護利用者13名のうち9名は胃ろうや経鼻経管栄養などの医療的ケアが必要である。主治医が利用者ごとの医療的ケア指示書を作成しケアの内容を看護師や介護職員に指示している。毎月医療的ケア委員会を開催しケアが適切に実施されていることを確認し職員間の情報共有を図っている。利用者一人ひとりの医療的ケア実施マニュアルを作成し、職員は利用者が疲れないように安楽な姿勢の維持に配慮しながら、マンツーマンによる支援に努めている。

  • 重度障がい者の感性に響くような日中活動を心がけている。生活介護の利用者が季節感を感じて日々の生活を送れるように、晴れた日には毎日のように隣接の公園を散歩して季節の変化を楽しんでいる。毎月ボランティアが施設を訪問し音楽療法を実施し、嗅覚に優れた利用者は調理実習を通してケーキ作りなどの香りを楽しんでいる。視覚に敏感な利用者はスヌーズレンの装置を使いきらきらした光の感覚の中でのリラクゼーションを図っている。また、アニマルセラピーでは間近に犬の感触を感じるなど重度障がい者それぞれの感性を大切にした日中活動に力を入れている。

  • 自立訓練事業は将来的に就労を目指す知的障害者を対象に、地域生活を営むための基礎的な生活能力を身につける支援を行っている。自立促進プログラムにSST(社会生活技能訓練)を取り入れグループワークを通して自分の気持ちを相手に伝える訓練を行っている。資格取得プログラムではビルの清掃などを行うビルメンテナンス資格と介護ヘルパー2級の資格取得を目的に研修を行い、平成23年度はそれぞれ10名が資格を取得している。2年間の有期限の支援であり、職員は個別支援計画書を作成し、3ヶ月ごとに成果のモニタリングと支援計画の見直しを行い最適支援に努めている。

  • 就労移行支援事業は利用者の社会性に重点を置いて支援している。3つの班に分かれて作業能力向上プログラムに取り組んでいる。パンやクッキーの食品製造班に6名が従事し、天然酵母を使用したパンなどを施設内の喫茶店や法人内の施設の食堂などで販売している。喫茶班では3名の利用者がドリンクやパンなどを販売し、また、カレーの食事提供の接客に取り組んでいる。企業受注班は菓子箱の組み立てなどを10名が担当し、一日1000箱を製品として納めている。パソコン講座やビジネスマナー講座を開催し、インターンシップ(職業体験)に積極的に取り組んでいる。平成23年度は、8名のトライアル雇用と10名の就労を実現している。

  • 就労継続支援B型事業は社会参加を希望する身体・知的障がい者の福祉的就労を通して、一般就労への意欲の向上を図る支援を行っている。企業受注班と看板班の2つの班に分かれて作業を行っている。企業受注班ではタオルたたみやモップのケース詰めなどに9名の利用者が作業をしている。看板班では6名の利用者が大小様々な看板や横断幕を役所や学校などから受注し作業に取り組んでいる。また、動物や乗り物などのマグネットシールを施設の独自製品として製品化して喫茶店や各種のイベントで販売している。グループ全体で受注量の拡大と工賃アップに取り組み、平成23年度は一人当たり平均工賃は月額16378円である。

  • 就労継続支援B型事業では、朝のミーティングでその日の作業予定を確認し、また、作業終了後のミーティングで作業が予定通りであったか、そうでなければどこに問題があったかを利用者自らが振り返り、つぎの作業に活かす取り組みが進んでいる。作業の種目別に作業マニュアルを職員と利用者が協力して作成し、作業工程を明確にして行程別のチェック項目を規定し、どの工程でミスがあったのかを確認できるようにしている。また、製品の納品に利用者が同行し発注者の品質についての反応を直接感じることで、作業の品質改善に取り組む利用者の意欲の向上に繋がっている。

評価領域ごとの特記事項

人権の尊重

  • 全職員に配付されている「利用者への関わりと職員の基本姿勢について」の中に年齢にふさわしい呼称で呼ぶことなどが記載されている。同じく配付されている「障害を理解するためのハンドブック」の中にも「さん」をつけて呼ぶことなどが記載されている。その日にあったことや感じたことを職員がオープンで話し合うようにし、ストレスをためないことを心がけ、職員が相互にアドバイスを行っている。

  • 事業団の「多機能型事業所運営規定」と「利用者への関わりと職員の基本姿勢について」には個人情報の取り扱いが記されており、日々の業務の中で職員同士個人情報の取り扱いについて注意しあうとともに、気になることが起きた時には職員会議やミーティングで対策を話し合っている。

  • 「多機能型事業所運営規定」の中に人権擁護と虐待防止について規定し、職員に配付するとともにパソコンの共有フォルダーに登録しいつでも閲覧できるようにしている。「利用者への関わりと職員の基本姿勢について」と「障害を理解するためのハンドブック」を配付し、職員は人権擁護についていつでも振り返り注意を喚起している。職員会議で人権侵害に関する場面を想定して話し合い、事業団主催の人権研修や外部の研修にも積極的に参加している。外部研修に参加した職員は報告書や職員会議の場で研修の内容を他の職員に伝え意識の共有を図っている。

利用者の意思・可能性を尊重した自立生活支援

  • 個別支援計画の作成にあたり、家族に計画の意義を説明しそのうえで利用者の生活への意向や希望を聞いている。また、ケースカンファレンスで検討した内容を踏まえて面談しニーズの把握に努めている。個別支援計画の内容を説明し、今後の活動について確認し、利用者と家族の同意のサインをもらっている。

  • 本人の思いや考えを尊重し個別支援計画に反映するようにしている。時間をかけて聞き取りを行い、また、作業の様子を観察して日頃の会話を通して本人の要望や希望について把握している。その上で、将来どうしたいか、どうなりたいかということについての計画を策定している。

  • 個別支援計画の課題に沿って3ヶ月に1回支援の状況と結果についてモニタリングを行っている。状況に変化が見られた時にはカンファレンスを行い、そのうえで家族とも面談を行い、個別支援計画の見直しをしている。個別支援計画の見直しを行った時には利用者及び家族に文書で同意をもらっている。

  • 個別支援計画作成にあたり、利用者一人ひとりの行動から予測されるリスクの把握に務めている。生活介護では身体的にリスクの高い利用者が多いため、個別の緊急時マニュアルを作成し、年1回利用者緊急時研修を実施している。

サービスマネジメントシステムの確立

  • 事業団の苦情解決規程があり、苦情受付担当者、苦情解決責任者を設置す ること、苦情解決の手順などについて明示している。苦情の記録は苦情受付カードを記すことで受付から解決までの流れを記すことが出来るようになっている。第三者委員が3名設置されており、連絡先を重要事項説明書に記載し、いつでも第三者委員に相談できることを伝えている。

  • 事故が起きた場合には、事故報告書を作成している。事故報告書には、事故の内容、経過、処置、改善点について記すようになっている。家族、管理職に報告した後、担当の職員間で改善方法や再発防止対策について話し合い、その結果は職員会議やミーティングにおいて職員に周知している。また、転倒などの事故には至らないけれど一歩間違えば危なかった事柄に関して、ヒヤリハット報告書を記載し自己防止に努めている。
  • 感染症対策チームを立ち上げ感染症の防止に努めている。今年度は11月 から3月までを感染症防止の強化月間としている。食中毒及び感染症マニュアルを職員に配付し注意を喚起している。ノロウィルス対策として、朝または夕方に居室等を次亜塩素酸ナトリウムで消毒することを行っている。 また、細菌やウィルスが靴によって持ち込まれることを防ぐため、全ての出入り口に抗菌マットを備えている。12月21日と1月22日にノロウィルス感染症の研修を行っている。

  • 災害発生時を想定した避難訓練を年2回実施(避難訓練・消火訓練)してい る。災害対策マニュアル及び防災訓練実施要領を職員に配付し、火災や災害時に対応できるよう体制を整え、職員に周知している。防災倉庫には、90人×3日分の食糧などを備蓄している。今回の震災を機に、災害時の障害者の受入れ対策についても、内容の見直しを市に働きかけている。

地域との交流・連携

  • 地域の方に広く知ってもらうために、松が丘園祭を開催している。毎年多くの 方が来所し、事業について知ってもらうとともに、楽しんでもらう機会としている。また、地域のボランティアや団体等(和泉短期大学、自治会など)との交流を図り、松が丘園祭などで一緒に活動する機会を設定している。

  • 研修会を開催し、地域の施設などへも参加案内をしている。養護学校や支援 学校、支援学級等の体験学習や見学を積極的に受け入れている。近隣の大学からの見学を受け入れ、障害者支援についての理解を深めてもらう機会としている。また、職業体験や介護実習等の受け入れもしている。更に、市内の民生委員の視察等も積極的に受け入れている。法人への理解を深めてもらうために年2回広報紙を発行している。

  • 地域の自治会連合会や自治会から理事や評議員を複数選出して、理事会及 び評議員会で定期的な情報交換を行っている。また、地域主催のお祭りなどに出店し、情報発信を行っている。作業の受注先開拓時には、通所している利用者について説明し、理解や周知に努めている。また、近隣の大学や福祉施設で自主製品の販売会を実施し、利用者も参加することで交流の機会を作っている。

運営上の透明性の確保と継続性

  • 国(厚生労働省)ガイドライン等に準拠して「目標管理シート」で自己評価を行い振り返りをしている。職員評価は年2回行っている。一次評価は課長代理、二次評価は課長で年2回面接を行っている。

  • 毎年「利用者アンケート」を実施し、利用者及び家族に提供しているサービスについての満足度を把握している。評価結果については、理事会及び評議員会に報告しているが、利用者と家族に開示はしていない。 日々の業務の中では、サービスを担当した職員が実施した内容について意見を集約し、後のサービスに活かしている。

  • 第三者委員が3名設置されており、連絡先を重要事項説明書に記載し、利用者に配付している。困ったことが起きたときや施設内で解決できない問題が起きた時には第三者委員に相談できることを伝えている。第三者委員は年1回会合を開き、施設側と苦情解決について情報交換をしている。また、相模原福祉オンブズマンネットワークに参加し、毎月1回相談会を実施している。

職員の資質向上の促進

  • 年度毎の職員研修計画を策定している。職員像を明記し、職員に求められる能力について階層別に定義している。また、研修実施計画を作成し、職場研修、派遣研修及び自己啓発支援についての法人の方策を定めている。半期ごとの研修日程表を作成し、階層別の研修テーマを定め開催日時を職員に周知している。

  • 職員の資質向上に向けて、積極的に研修参加を促している。研修終了後は、職員会議での報告や資料の回覧などをし、職員間で研修内容の共有をしている。研修内容によっては、職員全体を対象とした報告会を開催している。また、外部研修だけなく、担当事業に必要な専門的知識・技術の向上を図るために研修(身体状態・ポジショニング・摂食等)を実施している。

  • 実習生の受け入れについては、実習指導者委員会を組織し、法人全体での受け入れをしている。全体のカリキュラムについては現在策定中である。実習担当職員を置き、近隣の短期大学や大学生の実習の受け入れを積極的に実施している。又、地域の県立高校生の受け入れも行っている。

評価結果詳細

評価結果詳細PDFデータ(393K)


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