すぎなの郷の結果
評価実施年月 | 平成24年7月〜平成25年3月 |
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公表年月 | 平成25年 3月 |
対象サービス | 障害者支援施設(施設入所支援・生活介護) |
法人名 | 社会福祉法人すぎな会 |
対象事業所 | すぎなの郷 |
住所 | 〒243-0125 神奈川県厚木市小野2136番地 |
TEL・FAX | TEL:046-247-0311 FAX:046-248-8608 |
ホームページ | http://www.sugina.or.jp/ |
総合評価
優れている点・独自に取り組んでいる点
- 食形態への取り組み
ミキサー食・刻み食・一口大・常食で食事を提供しているが、利用者の高齢化、重度化が進み、個々の食事の形態が刻々と変化しており、食事提供のあり方が喫緊の課題であった。ソフト食の導入により、利用者がより安心して食事を楽しめる事を目指し、言語聴覚士による摂食・嚥下評価、全支援員による刻み食・ミキサー食の試食による課題共有、プロジェクト担当の支援員・対象利用者でのソフト食の試食を通じて取り組みを開始した。併せて、食事支援の大切さを再認識し、来年度ソフト食の全面的導入に向けて計画した。ソフト食の試食実施などの為に、プロジェクト会議に委託業者の関係者3名が参加した事により、意思疎通がスムースに行われるようになり、次年度のソフト食導入にむけての共通認識が生まれた。また、刻み食やミキサー食を多くの支援員が実際に試食することで、施設生活の中でも重要な食事に関する意識が高まり、引き続き協力体制を取って刻み食を見直し、来年度からのソフト食導入を目指して取り組んでいる。
- 日中活動への取り組み
23年度までの旧法の下で培い継続してきた機織り、手芸系の作業、紙で作る置物や飾り物の工作などの作業は、利用者の生活の核としての時間をつくり、生活への意欲につながっていた。24年度障害者自立支援法によるサービス体系に移行した事により、作業への支援方法が変わり、利用者にも戸惑いが見られた。来年度に向けて体制を立て直している所で、利用者に分かりやすいように活動時間を定めるなど、また職員が交代しても作業に関して同じように対応出来るように工夫を続けている。24年度の障害者自立支援法によるサービス体系移行後も、生活への意欲を形成する為に、作業素材の一部を継続する取組みをしている。
- 人権擁護への取組み
人権擁護に関する意識を高め維持する為に、法人として人権委員会を設置し、すぎなの郷から2名の支援員が委員として参加している。人権委員会では、2ヵ月ごとに人権擁護啓発のための標語を公募しポスターで掲示するなど、職員の意識向上に取り組んでいる。 また、法人独自に作成した人権チェックリストによる自己点検を月に2回、また、すぎなの郷独自に、施設運営方針の「支援の質の向上による利用者の生活の質の向上」を核とし、職員全員に「支援技術チェックリスト」(3、ひとりで何とかできる。2、助言を受けながらできる。1、経験していない。)による自己点検も行なっている。自己点検を通じて、職員は常に自己を振り返る姿勢が身についている。チェックリストをもとに、課長や施設長による面談も定期的に行われ支援内容について常に検証している。
改善を要する点
- 利用者との定期的な話し合い
食事時間や日中活動時間を利用して、利用者の希望や要望、思いを聴き取っているが、定期的な話し合いや思いを聴きとる場や機会が無いなど、組織的な取り組みに工夫の余地がある。生活環境の改善、整備に向けて、特段話題が無くても、定期的に利用者が、また代弁者として家族や成年後見人が、意見や思いを言える環境を整える事が大切であり、利用者が参加する機会の確保に向けて、さらなる工夫と努力が期待できる。
- 自己評価の公表
法人独自に作成した人権チェックリストによる自己点検や、すぎなの郷独自の支援技術チェックリストによる自己点検を行なっている事、その事を家族の会幹事会や理事会、評議員会に報告している事は評価できる。しかし、ホームページや広報誌などで評価結果を一般に公開するには至っておらず、工夫と努力が期待される。
評価領域ごとの特記事項
人権の尊重
- 人権擁護に関する意識を高め維持する為に、法人として人権委員会を設置し取り組んでいる。人権委員会にはすぎなの郷からは支援員2名が委員として参加し、2ヵ月ごとに人権擁護啓発のための標語を公募しポスターで掲示するなど、職員の意識向上に取り組んでいる。
- 部屋のドアは鍵がかかるようになっており、利用者が部屋の鍵を所持することを希望している場合は、鍵をゆだね鍵の開閉を利用者に任せている。非常時等の為に、スペアの鍵は各フロアー毎に管理している。
- 以前、職員宿舎として活用していた隣接した建物を、自立度の高い利用者の為に「自立支援棟」として利用している。自立支援棟は完全個室であり、利用者が個別に自分の部屋の鍵を所持し、部屋の掃除なども含めて自己管理に近い生活を送っている。
利用者の意思・可能性を尊重した自立生活支援
- 個別支援計画の作成にあたっては、協力病院の言語聴覚士や理学療法士からの意見と本人及び成年後見人、家族の要望も併せて計画書に反映させている。作成後は、協力病院の理学療法士、言語聴覚士への相談等により再アセスメントのうえ、支援の変更を迅速に行なっている。
- 栄養ケアマネジメントを実施し、個別支援計画書へ反映、月に1回嚥下評価、月に2回医師も含めたカンファレンスをおこない健康管理をしている。24年度から栄養面でのマネジメントを取り入れ、栄養状態や体調管理について、支援員、看護師、管理栄養士の打ち合わせを行ない、食形態の見直しなど含め一体的に取り組んでいる。
- 利用者個々の社会適応能力をとらえ、支援員による「余暇・楽しみプロジェクトチーム」を中心に地域情報を収集し、喫茶外出やイベント等、高齢者や車イスの方でも参加ができる行事等を企画し、積極的に参加している。 また、本人の要望により、スーパーの訪問販売での購入計画をたてたり、散策を企画、ガイドヘルパーの活用から実現までつなげるようにしている。
- 余暇などの日常生活支援計画やマニュアルは、支援員による余暇・楽しみプロジェクトチーム、日中活動プロジェクトチームを中心に検討、計画し、支援員全員が関わる形で進めている。日中活動は、全体を把握する支援員が年間計画に基づいて展開している。
サービスマネジメントシステムの確立
- リスクマネジメントを体系化させるため、平成24年度リスクマネジメント体制準備会議を設置し、平成25年4月施行予定。個別支援計画書作成にあたっては計画書に支援方法を記載し、リスク把握の視点を持って支援展開ができるよう確認して行なっている。また、マニュアルは、支援員室に置き、いつでも内容を確認できるようにしている。また、入浴介助マニュアルは、浴室にも設置し迅速な対応ができるよう備えている。
- 車イスを個人所有している方が11名いるが、協力病院の理学療法士、言語聴覚士の指導アドバイスを受けて使用している。点検・整備は、利用者の担当支援員や業者が定期的に行っている。また、車イス、車輪付き歩行器、ピックアップ式歩行器を施設としても準備し、必要に応じて貸出をしている。本人に合わせた使用方法は、協力病院の理学療法士、言語聴覚士が指導アドバイスをしている。
- 利用者の重度化に伴い、埋め込み式の大きい浴槽での入浴が難しくなった方に対して、座位を保ちながら入浴できる機械浴槽と、入浴用車イスのまま入浴できる機械浴槽の2種類を導入した。協力病院の理学療法士、言語聴覚士のアドバイスを受け本人に合わせて使用している。
- 感染予防について、介助時の手順と使用する物品を整備し、文書と支援会議、朝晩打ち合わせで随時確認をして予防対策を講じており、法人全体でも衛生健康委員会を中心に文書配布や職員会議等で周知徹底を図っている。特に、看護師から感染予防の資料配布と手洗い講習、衛生用品の使用の方 法など未然に防ぐ視点でのレクチャーが支援会議、医務室講習等で繰り返し行なわれている。利用者に対してもポスターの貼り出しや食事時間日中活動時間を利用してわかりやすく説明をしている。
地域との交流・連携
- 4階ホールを開放し、地域住民や自治会関係の会議の開催に活用してもらっている。すぎな祭(地域参加300名)・納涼祭(呼びかけは200名・来会数30〜50名)などの施設行事開催時には、地域の方々を積極的に招いている。また、すぎな会が開催する研修会などへの参加も自治会、地域施設、事業所などへ声をかけ、施設を理解してもらう取り組みとして位置付けている。
- 地域の玉川地区大運動会、小野地区大納涼祭等地域の行事にはポスターなどで利用者に呼びかけ積極的に参加している。地域の盆踊りの練習にも職員が数回参加し、地域の盆踊りへ踊り手として参加し、施設を理解してもらう取り組みとして位置付けている。
- ボランティアの受け入れ担当者が、活動が活発に行われるよう、受入要領を作成するなど環境整備をはかっている。通年で決まった曜日に長期的定期的にボランティアが来会し、日中活動やすぎな祭、納涼祭や運動会など行事の支援活動に参加している。
運営上の透明性の確保と継続性
- 法人全体で新任支援員への内部研修を行ない、入職半年後を目安に職員倫理綱領および職員行動規範を中心とした振り返り研修を実施し、新任支援員の育成に当たっている。また、内部研修において施設理念、法人行動指針等を周知、また、年度末の全体職員会議において理事長、施設長から報告伝達をして周知を図っている。
- 法人独自に作成した人権チェックリストによる自己点検を年1回、また、すぎなの郷独自に、施設運営方針の「支援の質の向上による利用者の生活の質の向上」を核とし、職員全員に「支援技術チェックリスト」(3、ひとりで何とかできる。2、助言を受けながらできる。1、経験していない。)による自己点検も行なっている。自己点検を通じて、職員は常に自己を振り返る姿勢が身についている。チェックリストをもとに、課長や施設長による面談も定期的におこなわれ支援内容については常に検証している。
- 自己評価を行なっていることを家族等に伝え、支援についての評価をしていただくよう家族の会や三者例会等を通して伝えている。
職員の資質向上の促進
- 法人全体で新任支援員への内部研修を行ない、入職半年後を目安に職員倫理綱領および職員行動規範を中心とした振り返り研修を実施している。また、年度末の全体職員会議において理事長、施設長が伝え周知を図っている。
- 県社会福祉協議会、日本知的障害者福祉協会、県知的障害施設団体連合会、全国障害者総合福祉センター主催の年間予定を組み合わせ、職員の職位や経験に応じて年間計画を立て参加している。また、高齢重度化した利用者の支援と介護を併せ持つ施設として、その業務に必要なシリーズ化した勉強会等への継続参加に力を入れており、常勤、非常勤ともに参加の機会を積極的につくっている。
- 余暇・楽しみプロジェクトや日中活動プロジェクトなど、プロジェクトチームで取り組んでいる内容については、なるべくチーム全体で研修に参加をしており、研修報告は随時公表してプロジェクト会議や支援会議の場で報告検討に生かしている。ケースワーク技法に関しては、OJTの観点でフロアー支援員と看護師等他職種を交えたケース検討を進めながら新任を中心に学ぶ機会を得ている。プロジェクトチーム会議や課長、施設長面談において、習得度を確認している。
実習生の受け入れは、実習に入る1ヵ月前にオリエンテーショを実施、実習前の事前学習として施設概要の説明と見学、実習中の自身の体調管理と留意点、実習前後の準備についての質疑応答を行なっている。
評価結果詳細
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