神奈川県社会福祉士について

竹の子学園の第三者評価の結果

評価実施年月 平成25年9月〜平成26年3月
公表年月 平成26年 3月
対象サービス 施設入所支援
法人名 社会福祉法人明星会
対象事業所 竹の子学園
所在地 〒250-0052 小田原市府川752-5
ホームページ http://www.kanagawa-id.org/takenoko/

総合評価
(優れている点、独自に取り組んでいる点、改善すべき事項等)

<施設の概要>

 竹の子学園は、伊豆箱根鉄道大雄山線、相模沼田駅から徒歩で20分程度の周囲を林に囲まれた静かなところにある。社会福祉法人明星会が平成6年4月に開設した障害者支援施設であり、定員は入所56名(男性32名、女性24名)及び短期入所4名の合計60名である。鉄筋2階建ての建物で2人部屋29室と個室7部屋のつくりである。明星会は現在当学園の他に、定員30名の通所施設竹の子ケアセンター(生活介護、自立訓練)、就労継続支援B型事業のパン工房ハッピー(定員20名)、8ヶ所のグループホーム(合計定員44名共同生活介護、共同生活援助)及び障害者相談支援センターを運営している。
 法人の基本理念に、常に利用者の立場になって、利用者が安心して安全に過ごせる事業を行うことを掲げている。神奈川県知的障害施設団体連合会の「あおぞらプラン」を遵守し、利用者の人権を守ること、個々の利用者のニーズに添った個別支援計画を作成し、ゆとりのある支援を行うことなどを施設運営の基本方針としている。社会の流れが変わっても法人として変わらない姿勢「利用者の方が地域に出て日常生活や社会生活を安心安全に過ごせるように支援すること」、その実現のための「目配り」「気配り」を大切にすることを施設運営の方針として日々の利用者支援に努めている。

<優れている点・独自に取り組んでいる点>

  • 「竹の子人権守ろう宣言」を定め、全職員が一丸となって利用者の人権擁護に努めている。
    竹の子人権守ろう宣言には、「私達はくん・ちゃん・あだ名呼びはしません」「私達は理由なく「ちょっと待ってて」とはいいません」など12項目の行動イメージがわりやすい言葉で示されている。法人の人権委員会が中心となり、2ヶ月ごとに人権スローガンを定めて掲示し、毎朝のミーティングで復唱し職員の注意を喚起している。寮会議で毎月職員1名が人権スローガンに対する取り組みについて発表し職員の人権意識の共有を図っている。また、人権スローガン自己チェック表を作成し、達成するための工夫や他の職員を見ていてよかったと思う点などのアンケートを毎月全職員に実施し、結果をまとめて職員に配布し職員の人権意識の振り返りを促している。

  • 職員の資質向上に向け計画的に研修が実施されている。
    年度ごとに職員一人ひとりが研修計画シートを作成している。年間の重点テーマを明記し、それを達成するための課題や取得を目指す望ましい資格等を明確にしている。職員は階層や職責に応じ、目標達成のために受講したい研修を計画的に受講している。受講者は研修の成果を職員会議で報告し、研修報告ファイルを他の職員がいつでも閲覧できるようにしている。また、OJTによる新人研修に力を入れており、職務に必要な態度、価値観、知識、技術等を指導している。中堅職員をOJTリーダーに選任し、新人職員の指導を通して自らの資質向上を図るようにしている。OJTシートを作成し入職後1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月のOJT結果を新人職員が自己評価し、OJTリーダーが面談し助言・指導を行っている。また、OJT研修の成果を寮長や施設長等が本人に面接し確認している。

  • 個別支援経過表を活用し、個別支援計画に沿った支援を実践している。
    年度初めに個別支援計画を策定している。アセスメントを実施し本人の日常生活、医療、行動面での支援ニーズや本人の得意とすることを把握し、利用者・家族の意向や要望を尊重し個別支援計画に反映している。個別支援計画は、本人の目線に立ち利用者本人のできること、得意なことを伸ばすことを心がけて作成している。個別支援経過表を作成し、職員は日々の支援が個別支援計画に沿っているかを記載している。また、毎月開催している寮会議で個別支援経過表の記述をもとに、利用者1人ひとりの状況を職員間で話し合っている。状況の変化を見逃さないように利用者支援の問題点や課題、改善点を寮会議で確認し個別支援経過表に記載している。個別支援経過表を活用し半年ごとにモニタリングを実施し個別支援計画に反映している。

  • 利用者は、能力や適性に応じた多彩な日中活動を行っている。
    現在7つの作業班があり、利用者の希望を尊重し能力や適性に応じて班を編成している。班の変更はお試し期間を設定し納得して希望する活動に取り組めるようにしている。CDケース等の分解作業を行う受注班があり、創作班は陶芸や編み物の作品、農業班は施設の畑で季節の野菜などを栽培し施設や地域のイベント等で販売している。リサイクル班は、ペットボトルのキャップ集めている。他に園内清掃班、ウォーキング班、生活訓練班があり利用者が希望する班で楽しく過ごせるようにしている。また、利用者はあじさい祭りや箱根駅伝の応援など地域行事に積極的に参加している。施設主催の竹の子祭りには、地域住民を招待し、模擬店やパン工房の焼きたてパン、陶芸、季節の野菜など日中活動の作品を販売し地域の人たちとの交流を図っている。

<改善を要する点>

人権自己チェックや施設運営に関する自己評価の結果及び施設運営全般に対する利用者・家族の満足度調査を実施し、結果を利用者・家族等に開示することが望まれる。

評価領域ごとの特記事項

人権の尊重

  • 施設の基本方針に、あおぞらプランの遵守を掲げ、利用者の人権擁護に努めている。また、人権委員会を立ち上げ「竹の子人権守ろう宣言」を策定し、人権擁護に関する12項目の具体的行動指針を定めて職員に周知している。職員は利用者の年齢に応じた呼称で丁寧に話しかけている。また、利用者に対し体罰はしないことを「人権守ろう宣言」に明記している。10月に家族会と職員合同で虐待防止法について研修を行い、竹の子だよりに掲載し利用者や家族に周知している。

  • 職員は居室に入る時には必ずノックし、声掛けをしてから入室している。不在時に入る必要がある場合には前もって話をしている。居室はほとんど二人部屋であるが、部屋の構造上仕切りはしていない。1部屋のみ本人の希望により、すだれを仕切りとして使用している。夜間の見守りを1時間ごとに行っている。

  • 法人の規程集に個人情報に関する保護規程があり、個人情報は職員室で閲覧することや個人名を公にしないことなどが明記されている。日誌は利用者から見えないように管理している。パソコンにはケース記録と個別計画書が入力されている。個人情報を見る場合にはパスワードで管理している。

意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

  • 年度初めに個別支援計画を策定している。アセスメントを実施し本人の日常生活、医療、行動面での支援ニーズや本人の得意とすることを把握し、利用者・家族の意向や要望を尊重し個別支援計画に反映している。個別支援計画は、本人の目線に立ち利用者本人のできること、得意なことを伸ばすことを心がけて作成している。

  • 利用者の健康状態や心身機能に変化があった場合は、医療・支援・栄養課と連携を取り、医師の指示の元に健康管理に努めている。寮会議には看護師、管理栄養士も出席し、利用者の通院結果や治療状況を確認し利用者支援の情報共有を図っている。また、利用者1人ひとりの栄養ケア計画を作成し、利用者の身体状況に応じた食事支援を行っている。

  • 食堂・浴室等の共用部分は良く清掃されていて清潔感がある。食堂の椅子・テーブルはすべて木製でぬくもりがあり、またその中の1つのテーブルは、高さ調節のできる機能があり、車椅子の利用者にも対応できるようになっている。

サービスマネジメントシステムの確立

  • 苦情解決取扱要綱を定めて苦情解決の仕組みを明確にしている。重要事項説明書に苦情受付窓口担当と苦情解決責任者、及び第三者委員について明記し契約時に利用者や家族・後見人等に説明している。苦情受付担当者や第三者委員を玄関前や各ホールに掲示し、利用者に周知している。また、利用者の自治会や家族会でも説明し、日頃より小さな出来事に対しても、要望や意見を取り上げ、日々の支援の向上や運営の改善に繋げている。
     
  • 竹の子学園独自の出来事報告書を準備し、事故の種類とヒヤリハット報告書の判断基準を定めた報告基準書を用意し、小さなリスクも見逃さず改善・改良に向けて取り組むようにしている。個人のリスクだけでなく、設備・支援・環境等様々な状況を勘案し、利用者の支援に反映している。

  • 火災や緊急時のマニュアル等については、新任職員研修を中心にOJTや寮会議などでも繰り返し周知を行っている。また、マニュアルに従い年2 回の防災訓練を実施して消防署に届け出しているほか、消防設備の点検も毎月1回担当者が実施して、点検簿を付けている。

地域との交流・連携

  • 夏祭り・竹の子祭りでは施設を開放し、地域住民に参加を呼びかけ多くの参加を得ている。地域住民に運営スタッフとして実行委員会に参加してもらい、竹の子祭では地元商店に出店を依頼している。利用者は定期的に近隣施設や役所にパンの訪問販売に行き交流を図っている。また、地域の自治会などから公園の清掃や畑の手伝いなどの依頼もあり、できる限り参加している。

  • 年4回程度スキルアップ・ネットワーク研修を企画している。地域の公民館などを会場にして、講師を招き福祉や人権、成年後見制度などの講演会を開催している。地域住民に参加を呼びかけ、地域福祉や住民の権利擁護意識の向上を図っている。研修の様子は「たけのこ便り」などを使って地域住民に知らせている。

  • 実習生の受け入れ窓口は、支援リーダーが担当となり行っている。支援リーダーは学校との打ち合わせや調整・オリエンテーションなどを実施し、日々の指導は担当支援員が行っている。実習生受け入れマニュアルを基本に「実習を行うみなさんへ」を使用してオリエンテーションを実施して最低限必要な知識を伝えた上で学生には実習に入ってもらっている。

運営上の透明性の確保と継続性

  • 法人の基本理念に、常に利用者の目線に立ち、利用者が安心して安全に過ごせる事業を行うことを掲げている。神奈川県知的障害施設団体連合会の「あおぞらプラン」を遵守し、利用者の人権を守ること、個々の利用者のニーズに添った個別支援計画を作成し、ゆとりのある支援を行うことなどを施設運営の基本方針としている。

  • 「利用者の方が地域に出て日常生活や社会生活を安心安全に過ごせるように支援すること」、その実現のための「目配り」「気配り」を大切にすることをホームページの施設案内に明記し日々の利用者支援に努めている。

  • 毎年1回、全職員対象で人権自己チェックリストを実施し、自己のサービスや人権意識について自己評価を実施している。また、たけのこ学園独自で作成している人権スローガンについても自己チェックを実施している。そして、これらの自己チュエックリストの結果については、人権委員会で集計し分析を行い全職員に周知し、人権意識の気づきを促している。

職員の資質向上の促進

  • 年度ごとに職員一人ひとりが研修計画シートを作成している。年間の重点テーマを明記し、それを達成するための課題や資格条件等を明確にしている。職員は階層や職責に応じ、目標達成のために受講したい研修を計画的に受講している。受講者は研修の成果を職員会議で報告し、研修報告ファイルを他の職員がいつでも閲覧できるようにしている。

  • OJTによる新人研修に力を入れており、職務に必要な態度、価値観、知識、技術等を指導している。中堅職員をOJTリーダーに選任し、新人職員の指導を通して自らの資質向上を図るようにしている。OJTシートを作成し入職後定期的にOJT結果を新人職員が自己評価し、OJTリーダーが面談し助言・指導を行っている。また、OJT研修の成果を寮長や施設長等が本人に面接し確認している。

評価結果詳細

評価結果詳細PDFデータ


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