伊勢原市 比々多保育園 の第三者評価の結果
評価実施年月 | 平成26年6月〜平成27年3月 |
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公表年月 | 平成27年3月 |
対象サービス | 保育所 |
経営主体(法人等) | 社会福祉法人光が丘福祉会 |
対象事業所 | 伊勢原市 比々多保育園 |
住所 | 〒259‐1104 伊勢原市坪ノ内80−1 |
TEL・FAX | TEL:0463-93-1390 FAX:0463-95-4448 |
総合評価
優れている点・独自に取り組んでいる点
保育園の概要
伊勢原市比々多保育園は、小田急小田原線鶴巻温泉駅から車で10分の畑が点在する住宅地にある。 伊勢原市立保育園として昭和 49 年 4 月 1 日に開設され、1年間の移行期間を経て平成 24 年 4 月 1 日から、市内で保育園を運営する社会福祉法人光が丘福祉会が指定管理者として運営している。保 育が行われている 2 階建の建物では、保育園以外に子育てひろばなど子育て支援事業も実施されて おり、複合施設の中で園が運営されている。定員は 120 名で、調査実施時点での内訳は 0 歳児が 10 名、1 歳児 23 名、2 歳児 19 名、3 歳児 19 名、4 歳児 26 名、5 歳児 22 名で、24 名の保育士も含め 34 名職員により運営されている。保育理念に「児童福祉法に基づき、子ども一人ひとりを大切に、保 護者とともに子どもたちの健やかな成長発達を支える保育園」を掲げ、世代間、異年齢の人たちと の出会いを大切に、やさしさ思いやりのある豊かな心を育てる保育を目指している。
優れている点・独自に取り組んでいる点
1.使いやすい構造上の工夫
クラス毎に仕切られ独立した保育室で保育が行われているが、建物の構造が工夫されており、 採光や換気が行き届いている。また、持ち帰りの手荷物とタオルなど汚れ物を置く場所それぞれ が、園児ごとに保育室と廊下の両面から出し入れできる構造となっており、保育室に入らなくて も廊下側から荷物を取り出せるなど工夫されている。子育て支援事業なども行っている複合施設 で、誰もが使えるよう清掃がなされている。保育園スペースに入る手前の玄関ロビーにもトイレ があり、保護者など来園者が自由に使用できる。
2.保護者との情報共有
家庭との連絡・情報交換は、「連絡帳」「出席ノート」「おたより」「園だより」のほか、送迎時 に保護者が確認できるように、その日の様子や連絡事項をクラス毎のクラスボードに掲示して保 育状況を知らせるなど、連絡を密にしている。その結果、指定管理者として運営を受託して以降、 保護者の園運営に対する関心が少しずつ高まり、年1回のクラス懇談会及び保育参加の参加者が 増える傾向にある。
3.異年齢交流
オープン保育をうたってはいないが、指定管理者として運営を受託して以降、以前に引き続き 異年齢児との交流に力を入れている。日常生活の中で年齢の高い子が低い子の階段の登り降りを 手伝ったり一緒に散歩に行ったり、また当番として体操の時に皆の手本になったり午睡時の 1,3,4 歳児寝かしつけ、3 歳,4 歳,5 歳児で年間を通じた縦割グループで泥んこ遊びやハロウィン など「わくわくデー」として活動を行うなど、自然な形で異年齢の園児同士が関われるよう工夫 している。
改善を要する点
1.地域との交流
複合施設として、同じ建物内で市の事業である「なかよしルーム(毎日)」や「子育てひろば(月 2 回)」が行われており、年間を通して協力している。また、保育園を知ってもらうために、夏祭 りや運動会など季節の行事を捉えて招待状を地域に配布し、ボランティアの協力を得て実施して いる。他方、園舎まわりに看板やお知らせボード等が無く、地域に対する様々な案内や情報提供 に工夫の余地がある。保育園がもつ地域における子育て支援の拠点としての側面に応えるには、 ホームページの充実など日ごろからの情報発信とニーズを受け止める工夫が必要であり、今後の 努力が期待される。
2.会議録、報告書等の書式の整備
指定管理者として2年を経過する中で、以前から引き継いだ仕組みと、指定管理の下で新たに 工夫している仕組みにより、子どもを尊重した日々の保育が営まれている。他方、その裏付けと なるマニュアルや文書類が体系的に整理されておらず、統合されていない状況が散見される。特 に、会議録や報告書の書式が整備されておらず内容も不十分であり、後から記録を確認しやすい 工夫が求められる。
評価領域ごとの特記事項
人権の尊重
- 園児や保護者への適切な言葉遣いや態度について「子どもの権利の尊重
と保障」を職員会議で読み上げ、また自己点検を行うなど周知を図って
いる。併せて、児童虐待防止に関する外部研修の報告等を行うことで、
共通認識をもって保育に取り組んでいる。外国籍の保護者には、すべて
ひらがなでの記述や、口頭で個別に伝達するなど工夫している。
- 「個人情報保護に関する方針」を職員会議で読み合わせ、職員の意識の
徹底をはかっている。保護者には入園説明会等で説明している。個人情
報を含む児童票などの文書類は重要書類として職員室で保管している。
- 実習生やボランティア、見学者の受入れにあたっては事前に園長が担当 として個人情報保護について説明している。また、玄関ロビーに設置の 「掲示板」で見学者など来園者について伝えている。
意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供
- 家庭との連絡・情報交換は、「入園のしおり」で手段・方法等を定め、「連
絡帳」「出席ノート」「おたより」「園だより」のほか、送迎時に保護者が
確認できるように、その日の様子や連絡事項をクラス毎のクラスボード
に掲示して保育状況を知らせるなど、連絡を密にしている。
- クラス懇談会及び保育参加を年 1 回実施し、保護者の意見・要望を把握
している。個人面談は全園児に年 1 回実施している。また誕生月の園児
の保護者が誕生会に参加し直接保育の様子を知る機会を提供している。
- 保護者が意見や要望等を出しやすいように「ご意見箱」を設置し、日頃 より保護者の希望や意向の把握に努めている。出された意見などについ ては、職員会議で話し合い、全職員共有のもと適切な対応に努めている。
サービスマネジメントシステムの確立
- 苦情への対応は「ご意見・ご要望の解決のための仕組みについて」に手
順を明記し、苦情受付担当者や苦情解決責任者、第三者委員名を、職員
室前及び各クラスに掲示し保護者に周知している。受け付けた苦情は「ご
意見・ご要望・相談記録カード」に記し、手順に沿って対応している。
- 毎日 2 回クラス毎に温度・湿度をチェックし快適な室内環境を整えてい
る。消毒薬や洗剤等の危険物については「危険物チェックリスト」で、
トイレ,保育士室などの清掃については「掃除手順」、園児が触れるおも
ちゃ,布団,砂場などの衛生管理は「衛生管理票」で定め、週1回すべて
の備品・設備の点検を行っている。
- クラス毎に「健康記録」を備え、体調不良児の記録や保護者依頼の与薬
の管理など健康管理を行っている。「園だより」や掲示板「伝染病発生状
況」と併せて、園内で流行している感染症の情報を保護者に提供してい
る。
- 防火・防災については、保育園の建物は学童保育・地域活動室等との複 合施設であるため保育園以外の利用者と一緒に、「危機管理マニュアル」 に基づき、避難訓練などを年 12 回、消防署との通報訓練を年 2 回行って いる。防犯対策として不審者への対応について話し合い、全職員が通報・ 放送・合言葉等に共通の意識を持って研修し周知を図っている。
地域との交流・連携
- 地域の子育て支援については「比々多保育園 地域支援事業」として位
置づけ伊勢原市の事業である「子育てひろば」を毎月 2 回午前中「なか
よしルーム」を平日の午前 9 時 30 分から午後3時に協力し実施している。
- 保育園を知ってもらうために、夏祭りや運動会、・わくわくデー、クリス マス会などの招待状を地域に配布し、地域ふれあい行事として園の行事 に地域の子育て家庭の人々が参加できるように計画し実施している。
運営上の透明性の確保と継続性
- 複合施設のため入り口や正面玄関などが使えず、職員室の前や限られた
スペースに工夫し地域へ向けて「園の案内」「子育てひろば」「なかよし
ルーム」などの案内資料を配置している。
- 職員全員が年2回自己評価を実施し、業務を振り返る機会を持ち、正面
玄関自動扉の施錠など運営の改善につなげている。
- 「園の保育理念、保育目標、保育方針」を、クラス内や掲示板に掲示し
保護者や地域の理解が得られるようにしている。
- クラス懇談会及び保育参加を年 1 回実施し、また、園児の誕生月の保護 者が誕生会に参加するなど直接保育の様子を知る機会を提供し、保護者 の意見・要望を把握している。
職員の資質向上の促進
- 各クラスに「保育理念・保育方針・保育目標」を掲示している。また、「保
育課程」に保育の理念や保育目標を明記し、職員会議で読み合わせ周知
をはかっている。
- 研修計画は「比々多保育園研修計画」に基づき、内部研修及び外部研修
ともに計画し実施されている。
- 外部研修を受講した職員は、職員会議で研修報告を行うとともに、研修 報告書をいつでも自由に閲覧できるように研修報告書綴りとして置いて いる。