川崎市三田福祉ホームの第三者評価の結果
評価実施年月 | 平成26年10月〜平成27年3月 |
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公表年月 | 平成27年 3月 |
対象サービス | 知的障害者福祉ホーム |
法人名 | 社会福祉法人ともかわさき |
対象事業所 | 川崎市三田福祉ホーム |
所在地 | 川崎市 |
総合評価
(優れている点、独自に取り組んでいる点、改善すべき事項等)
<施設の概要>
三田福祉ホームは、小田急線生田駅から徒歩15分の住宅地にあり、知的障害者が低額な料金で利用することにより、地域において自立した日常生活及び社会生活が送れることを目的として、川崎市が昭和63年に設置し、平成18年より社会福祉法人ともかわさきが指定管理者として運営している。鉄筋コンクリート造り2階建の1階に男性の個室、事務室、食堂、調理室があり、2階に女性の個室、管理人室がある。1、2階にそれぞれ共用の浴室、トイレ、洗面洗濯室、娯楽室がある。平成26年10月現在、利用者は男女各5名で、男女とも30代から60代まで、平均年齢45.7歳である。利用者は、7名が一般就労、3名が福祉作業所等に通っている。運営法人は、川崎市内でデイサービス等20ヶ所以上の障害者のためのサービスを提供し、理念として、「利用者が安心して利用できる事業をめざします」「利用者一人ひとりの人権を尊重し、利用者主体の上質なサービスを提供します」「利用者の希望に沿った自立生活を実現できるよう、適切に支援できる職員の育成に努めます」を挙げている。
<優れている点>
- 職員には社会福祉法人ともかわさき「業務マニュアル」が配布され、示された業務基準に沿って業務を遂行していて、苦情解決や緊急時対応等、文書化され掲示されている。ホーム長やサービス管理者は法人主催研修や全国グループホーム等研修会等に出席し、研鑽に努めている。
- 入居時、自立した日常生活を送ることができる利用者ではあるが、高齢化等によりさらなる支援が必要な場合や、施設を出て地域で暮らすことを考えている利用者等、ニーズや希望も様々であるが、スタッフは、利用者の思いを聴きとり、個々の利用者に沿った分かりやすい個別支援計画を作成し、必要な支援をしている。
- 心地よい施設であることを目指して、職場への送迎時の声かけを大切にしている。職員は、いつでも利用者の話を聞いたり相談を受けたりできるように、全員の帰りを待って勤務終了としている。利用者と話し合って2ヶ月に1度レクリエーションとして、外食、ドライブ、1泊旅行等の機会を設けている。
浴室やトイレの清掃も利用者と話し合って無理のない当番制としている。「いつでも相談できる」ことと「自分たちのことを自分たちで決める」ことを通して、施設は利用者にとって安心できる場所となっている。
- ほとんどの利用者は、親族がいなかったり高齢であったり遠方であったりして頼ることができない。 その利用者の10名中7名が成年後見制度を利用して、社会福祉士が第三者後見を受任している。(補助人4名、保佐人1名、後見人2名)金銭管理とともに、1ヶ月に1回以上施設を訪問し、利用者の相談等を受け、職員とも連絡を取り合っている。第三者委員も年3回ホームを訪問し、利用者の相談を受けるなど、利用者にとって複数の第三者の相談窓口が用意されている。
<改善を要する点>
管理人業務が明確になっていない点、施設内の利用者対象のスペースの一部について、利用者が使用できなくなっている点、以上2点について、防災上の危険性が予測される箇所も見られるため、早急に改善することが望まれる。
評価領域ごとの特記事項
人権の尊重
- 職員に配布されている「業務マニュアル」に社会的倫理に即した公正、公平な行動に努めることなどが掲げられ、これを基本に不適切な行為をしないように取り組み、研修を受けている。
- プライバシーの保護については、個人情報を他人に聞かれないように時間と場所に配慮して、個別に面談や相談に応じている。利用者への言葉遣いは丁寧で、居室への立ち入りはノックや声かけをして、返事があってからしている。
- 親族に頼れない利用者が多く10名中7名が成年後見制度を利用し、社会福祉士が受任している。(現在補助人4名、保佐人1名、後見人2名)また利用者は、地区障害者支援センターや第三者委員にも相談できる仕組みがある。
意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供
- 利用者が1日を気持ちよく過ごせるように、朝の送り出しの挨拶や帰った時、
労いの言葉で迎えることを基本としている。相談したい、話を聞いてほしいという利用者があれば先延ばしせず聞くために、職員は、利用者の最後の1人が帰るまで勤務時間を延長している。
- 個別支援計画は年度当初本人との面談で、本人の希望を最優先に策定してい
る。一人ひとりのやりたいこと(パソコンの使用、ミシンの練習等)を支援する分かりやすい表現になっている。半期に一度本人と見直し、振り返りを行い、次の計画に反映させている。
- ホームの運営について、一方的に職員が決めるのでなく、利用者の話し合いで決めることを増やしている。浴室やトイレの使い方と清掃当番の方法、キッチンの使い方なども話し合いで決め、決まったことが掲示されている。また、2ヶ月に1回のレクリエーションの内容も希望により決めている。
- 利用者が1日を気持ちよく過ごせるように、朝の送り出しの挨拶や帰った時、労いの言葉で迎えることを基本としている。相談したい、話を聞いてほしいという利用者があれば先延ばしせず聞くために、職員は、利用者の最後の1人が帰るまで勤務時間を延長している。
- 個別支援計画は年度当初本人との面談で、本人の希望を最優先に策定している。一人ひとりのやりたいこと(パソコンの使用、ミシンの練習等)を支援する分かりやすい表現になっている。半期に一度本人と見直し、振り返りを行い、次の計画に反映させている。
- ホームの運営について、一方的に職員が決めるのでなく、利用者の話し合いで決めることを増やしている。浴室やトイレの使い方と清掃当番の方法、キッチンの使い方なども話し合いで決め、決まったことが掲示されている。また、2ヶ月に1回のレクリエーションの内容も希望により決めている。
サービスマネジメントシステムの確立
- 金銭管理について、年金や給料振込みの通帳は、家族及び成年後見人等が管理している。ホームへの支払いは個別に計算し、本人と家族及び後見人等と法人本部に報告し、家族及び成年後見人等から法人本部に支払いをするシステムとなっている。
利用者の毎月のお小遣いは基準額を決めているが、利用者と相談しながらその月の額を決め、成年後見人から振り込んでもらう体制を取っている。
- 苦情解決責任者、苦情解決担当者、第三者委員を明記した掲示物を事務所に掲示している。年3回第三者委員が来所し希望者と面接を行っている。毎月、成年後見人との面接を行っており、定期的に相談支援センターの職員との面談も実施している。苦情の内容は受付簿に記載している。
- 緊急対応時のフローチャートを作成し、緊急時の連絡先と共に事務所に掲示している。ホームには管理人が常駐しており、夜間や休日に緊急対応が必要になった場合には、管理人が職員に連絡を取り、相談しながら対応する体制が取られている。
地域との交流・連携
- 地元自治会に加入しており、町内会行事などのお知らせが来た時には入居者に情報提供している。
- 地域住民に理解を深めてもらうことが出来るよう、宅配業者や散歩している方々に率先して挨拶をしており、修繕等を行う場合には出来るだけ近隣の業者に依頼するようにしている。
- 多摩区役所や支援センターが主催する障害者の交流会に、2・3名の方が参加し交流の場を広げている。
運営上の透明性の確保と継続性
- 入居時に、契約書と重要事項説明書を取り交わし、サービス内容の説明を行っている。法律やサービス内容に変更があった時には、改めて説明を行い、署名捺印をもらっている。特に個人情報の伝達に関する同意書は、ひらがなでルビを振り、丁寧に説明している。
- 法人が作成した業務マニュアルがあり、職員に配付している。基本事項として、法人の理念や業務への取り組みが明記されている。毎月1回、管理人と職員合同で連絡会議を開き、献立や苦情内容について、利用者へのサービスなどについて話し合いを行っている。
職員の資質向上の促進
- 職員の勤務体制は、入居者とのコミュニケーションに配慮し、遅番や土曜出勤を設けている。利用者の帰りを待って、声かけをしてから退勤している。
- ホーム長、サービス管理者、管理人は月1回程度、入居者の情報交換や、業務の確認等を話し合う連絡会議を行って、統一的な支援に努めている。
- 法人は職員の専門知識・技術向上のため、研修機会を確保することを方針としていて、職員は職務にふさわしい研修を受け、記録を共有している。
日常生活支援
- 利用者は年2回、健康診断を受けている。体調が悪い時は通院同行や勤務先への連絡、
部屋での休養の見守り等の支援、定期的な通院の同行(現在4名)等をしている。
医師とは日頃から連携して、助言を受けている。服薬管理が苦手な利用者には、職員が薬を見やすくセットしている。メタボリックシンドロームなどの予防的な健康管理として、毎週木曜日の体重計測や、食事の減塩を利用者の納得のもとに行って、利用者の健康状態に注意している。
- 利用者の自由時間の過ごし方は、干渉せず見守っている。余暇の楽しみが増えるように2ヶ月に1回、職員が企画して希望者を募り、外出をしている。ドライブ、外食、1泊旅行等、利用者に喜ばれていて、参加者は多い。
- 利用者の勤務先、通所先がそれぞれ違うので、職員は訪問して状況を確認している。必要に応じて、関係者間で、連絡を取り合ったり、支援についてのカンファレンスを行ったりしている。
- 家族がいなかったり疎遠であったりする利用者が多く、後見制度を利用している利用者7名の後見人等とは連絡を取り合っている。中には定期的に自宅に帰る利用者もいるが、その家族との連絡は、課題となっている。