やまばと学園の第三者評価の結果
評価実施年月 | 平成26年6月〜平成27年3月 |
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公表年月 | 平成27年 3月 |
対象サービス | 障害者支援施設(生活介護・施設入所支援) |
法人名 | 社会福祉法人浄泉会 |
対象事業所 | やまばと学園 |
所在地 | 〒259-1132 神奈川県秦野市渋沢2620番地2 |
ホームページ | http://www.kanagawa-id.org/yamabato/ |
総合評価
(優れている点、独自に取り組んでいる点、改善すべき事項等)
<施設の概要>
やまばと学園は、平成 3 年 4 月に社会福祉法人浄泉会が開設した障害者支援施設である。小田急線
渋沢駅からバスで 10 分ほどの、丹沢山系秦野盆地の南側峠地区の渋沢丘陵のふもとにあり、豊かな
里山の自然に恵まれた大変静かな地にある。生活介護及び施設入所の定員は 60 名で、他に短期入所
支援 2 名と日中一時支援 5 名を受け入れている。平成 26 年 3 月 31 日現在の入所者数は 60 名で、平
均年齢は 45.3 歳である。全体の 90%は障害支援区分 5 及び 6 の利用者で、重度の障害者を多く受け入
れて支援している。また、60 歳以上が 8 名でそのうち 70 歳以上の利用者が 4 名と、全体に利用者の
高齢化の傾向にある。
「私達はいかなる時にもいかなる場所においても、利用者の基本的人権を尊重し、その人間性を育む
ことを誓います」など 5 つのやまばと学園信条を掲げている。職員は、やまばと学園信条を毎朝及び
会議の前に唱和し、職員間の意識を共有し利用者支援に努めている。
<優れている点>
- 職員行動指針を策定し職員全員が意識を共有し、利用者の人権擁護に努めている。
法人の「職員行動指針」は、「やまばと学園信条」を基本に策定している。行動指針は人権の尊重を 掲げ、利用者の自己決定と選択を尊重し、個人の尊厳に配慮した良質かつ快適・安心・安全・アット ホームなサービス提供に努めることを明記している。「利用者の人権侵害防止に関する規定」を作成 し、人権を侵害する行為を明示し職員に注意を喚起している。また、「性的な迷惑行為の防止に関す る規定」「パワーハラスメント防止に関する規定」を作成し、禁止行為検討委員会を立ち上げ、職員 の利用者に対する人権擁護の徹底を図っている。やまばと学園の信条に沿った利用者支援を行ってい るか、丁寧な言葉遣いや態度で利用者に接しているか等、職員は 33 項目の「自己チェック表」によ る振り返りを毎月実施し人権擁護の意識を徹底している。
- 重度障害者の意思を尊重し、利用者の自己選択を支援している。
「職員倫理綱領」に、利用者が自ら選択し決定することを支援することを掲げ、そのための情報を提 供し十分説明することを明記し職員に周知している。また、「知的障害者等の意思決定支援について」 を作成し、当事者の意思決定を待ち、見守り、利用者の主体性を育てる支援やその価値観を広げてい く支援に努めることを明記している。重度の知的障害者が多く言葉での動機づけが困難なことが多 く、利用者と職員が日々の生活を一緒に過ごす中で、体感を通して利用者の意思を感じ取るようにし ている。自分で服が着られる、一人でトイレに行けるといった日常生活の変化を認めることで利用者 の意欲の向上につながるように心がけている。
- 利用者のリクエストメニューに応え日々の食事が楽しくなるように支援している。
利用者のリクエストに応える食事を利用者は楽しみにしている。毎月開催の利用者の会「かながわ 会議」に栄養士も参加し、利用者に食事のリクエストをしてもらい、栄養バランスを考えてメニュー に取り入れている。月ごとに利用者のリクエストの達成率をチェックし利用者に知らせている。達成 率は毎月 80〜90%程度と高く利用者の希望に沿った食事が提供されている。食材については、ほとん とが国産のものである。食材ごとの栄養成分やアレルギー物質の含有について納入業者に報告を義務 付けている。利用者は自分たちが希望した食事を毎日楽しみにしている。
- 利用者の障害特性に配慮した日中活動を支援している。
平成 26 年度の事業計画に、利用者が生きがいを感じられる作業項目を提供し、日中活動に歩行訓 練や機能回復訓練を取り入れ利用者の心身の健康維持を図ることを明記している。日中活動を 5 グル ープの班に編成し、コースターやシュシュ等の生産活動を行う班など、班ごとに作業マニュアルを作 成している。自閉症等で活動内容の変化や外からの刺激に敏感な利用者ついては特別プログラムを整 備している。個別支援計画書に日中活動に関する利用者ニーズを明記し、太り過ぎ防止の散歩や、歩 行訓練等の個別課題を設定している。半期ごとに個別支援計画の課題に沿って日中活動を実施できた かをモニタリングし、課題を設定し次の計画に反映している。
評価領域ごとの特記事項
人権の尊重
- 「やまばと学園信条」で、「私達はいかなる時にも、いかなる場合に於い
ても、利用者の基本的人権を尊重し、その人間性を育むことを誓います」
とうたい、また、「職員行動の指針」で、互いの個性や違いを積極的に認め
合い一人ひとりが平等であるという考えの下に行動します」と明記してい
る。
- 全職員は、新人オリエンテーションで、人権教育、尊厳保持、虐待・体
罰・人権侵害等の防止、適切な呼称や言葉遣いや態度について学んでいる。
現任職員においても、弁護士の講師より、人権教育の研修を受けている。
- 全職員は、個人の尊厳保持ができているかを所定の自己チェック表で振
り返り、注意を喚起している。不適切な態度がある場合は、職員同士で注
意したり、禁止行為検討委員会に報告し、人権侵害を防止する仕組みを整
備している。
- 職員行動指針にプライバシーの尊重を明記し、男女共にそれぞれの棟と 階において、個室、2 人部屋、4 人部屋があり、必要に応じてカーテンやパ ーテーションを使用し、プライバシーが保てるように配慮している。他の 入所者が部屋に入らないよう中から鍵が施錠できるようになっている。ま た、職員は入室時には必ずノックをしている。
意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供
- 所定のアセスメント用紙を使用し、心身機能及び日常生活動作等の状況、
本人及び家族の希望や意見、その他医師の診断書等により利用者への支援
ニーズを把握している。
- 職員は、利用者の外出したい、○○を食べたいといった希望を個別支援
計画に記載している。言葉で伝えられない場合でも日々の表情や態度から
読み取れる希望を計画書に記載している。また、モニタリングは、3 ヵ月
又は 6 ヵ月ごとに行い、個別支援計画書の見直しと更新を行っている。
- やまばと学園の利用者は、重度の知的障害者が多く、自身で希望や要望
を伝えることが困難な場合が多い。そのため、日々、現場職員は生活の中
でコミュニケーションをなるべく多く取るように心掛けている。生活日誌
や作業日誌に個々の利用者情報を詳細に記載している。現場ではその情報
を指定用紙に記載して共有し、毎日、それをパソコンに入力することで他
の階の職員や上司が全体を把握できるようになっている。
- 食堂の椅子は、利用者に合わせて用意されている。発作を起しやすい利
用者の椅子には手摺りがつけられ、跳ねる傾向のある利用者の椅子は、ク
ッション性の高いものになっている。浴室・浴槽には手摺りが付いており、
浴室用の車椅子が用意されている。浴室には、車椅子のまま入ることが出
来るシャワーミストが設置されている。
- 健康管理支援マニュアルが用意されており、1日2回、起床時と入浴前 に検温を行い、風邪など体調不良の早期発見と予防に努めている。毎日の 申し送りや職員会議において、支援内容の変更や利用者の健康状態につい て伝達している。
サービスマネジメントシステムの確立
- 日々の生活日誌と作業日誌に加え、それらを集約した生活支援サービス
報告書を全家族に毎月送付して、情報の共有を図っている。昨年は、感想
や意見等を記載した家族からの手紙を 29 件受けている。
- ヒヤリハットや事故が発生し、その対応が終わると、まずは生活日誌や
作業日誌に記載され、翌日には朝の申し送りでその原因や対策を検討して
いる。同時に各報告書をまとめ、職員会議で再発防止の検討を行っている。
- 食堂や居室など利用者の生活環境の整備は、5S活動の一環として整備
している。(5S活動とは、整理・整頓・清掃・清潔・躾について年2回全
職員で点検を行うシステムである。)
- インフルエンザ・ノロ対策マニュアルを作成し、インフルエンザ・ノロ
対策として、撲滅期間を設け、流行期間前に職員会議などで説明し、マニ
ュアルを配付している。緊急事故への対応マニュアルに基づき、緊急処置
に備えている。食堂に吸引ノズルが用意されており、誤嚥が起きた場合に備えている。全職員が市の救命講習を受けている。
- 毎月事故撲滅委員会を開催し事例をまとめ報告し、係長・主任会議など
で対応について検討している。玄関マットで滑って転倒した事例ではマッ
トを交換し、背もたれの無い椅子に座って転倒した事例では背もたれのあ
る椅子に交換した。また、各フロア会議などでも事故対応について検討し
ている。
- 自衛消防組織、緊急時の連絡網の体制は出来ている。火災・地震時の連 絡網は、消防本部から救急救命病院にまで及んでいる。また、災害時にお ける、障害者の緊急受け入れに関する協定を市と近隣7施設の間で結んで いる。防災訓練は、火災・地震を想定して毎月実施しており、訓練時には 消防署に連絡をしている。
地域との交流・連携
- 運動会や秋祭りには、近隣の方々、地元の大学生や学園の職員OBなど
がボランティアとして来所し、模擬店や駐車場の誘導、利用者の介助など
を行っている。定期的には、散歩のボランティアとして毎月3〜4名が来
所している。ボランティア受入要綱があり、2名のボランティア係りが調
整や連絡などを行っている。
- 地域の方々に参加してもらう行事として秋祭りがあるが、秋祭り前には、
ポスターを作り、協力医院、スーパーや理髪店などに掲示してもらい、毎
年400名ほどの参加がある。地区ふれあい祭り、イオンバザー、チュー
リップ祭りでバザーへの出展や市の福祉展への出展を通して福祉を理解し
てもらう取り組みをしている。また、年1回家族向けに講演会を実施して
おり、誤嚥について、人権について、リハビリなどについて理解してもら
う機会を持っている。
- 町内会に加入している。年3回発行している施設の機関紙を50部ほど 町内会長に届け、回覧してもらっている。町内会の夏まつりの時にはお神 輿の休憩所として中まで来てもらっている。
運営上の透明性の確保と継続性
- 「やまばと学園信条」をホームページに掲載し、施設運営の方針を開示
している。また、職員倫理綱領でも個人の尊厳の尊重をうたい、やまばと
学園信条の実践に努めている。
- 年1回内部監査、各種点検確認を実施している。定期的に第三者評価を
受審し結果を公表している。また、受ける時には、全職員の意見を集約し
ている。自己評価の最終的評価は、また、3 年ごとにISO9001更新
審査・維持審査を受診し家族会、理事会等にも報告し、また、審査結果を
公開している。
- ホームページに年度ごとの現況報告書、資金収支計算書、事業活動計算 書及び貸借対照表を掲載し、施設運営の透明化を図っている。
職員の資質向上の促進
- 全職員は、新人オリエンテーションで、人権教育、尊厳保持、虐待・体
罰・人権侵害等の防止について学んでいる。また、適切な呼称や言葉遣い
及び態度が取れるよう、新人オリエンテーションで周知し、毎月実施の自
己チェック表での振り返りを行い注意を喚起している。
- 現任職員においても、弁護士の講師より、人権教育の研修を受けている。
外部研修に参加した場合は、報告書を記載し回覧している。職員会議でも
伝達研修を行い、全職員に研修の内容を伝えている。
- 実習生指導担当職員を配置し、年間計画を立て、年間約20名の保育実 習生を受け入れている。受入にあたり、実習生の受入実施要領を策定して いる。健康診断とオリエンテーションを行い、ルールの説明をしている。 実習期間には、実習ノートへのコメント記入と2回の反省会を実施してい る。
評価結果詳細
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