大和市障害者自立支援センターの第三者評価の結果
評価実施年月 | 平成26年10月〜平成27年3月 |
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公表年月 | 平成27年 3月 |
対象サービス | 就労移行支援事業 |
法人名 | 社会福祉法人すずらんの会 |
対象事業所 | 大和市障害者自立支援センター |
所在地 | 〒242-0004 大和市鶴間1-19-3 |
ホームページ | http://www.suzuran.or.jp/jiritsuyamato/jiritsuyamato.html |
総合評価
(優れている点、独自に取り組んでいる点、改善すべき事項等)
<施設の概要>
大和市障害者自立支援センターは、小田急片瀬江ノ島線「鶴間駅」より徒歩8分の住宅地にある。前身は昭和28年に市が設置した大和市共同授産センターで、平成18年に現在の場所に新たに支援センターとして施設を開所、大和市から社会福祉法人すずらんの会が運営を委託され、平成23年度から第2期の指定管理者として引き続き運営している。センターで実施している相談支援事業と連携し、就労移行支援事業が実施されている。利用者19名の内、精神障害者が9名、発達障害も含め知的障害者が9名、他は身体障害者が1名であり重複障害者は0名である。また、在宅生活が長い方が多く、2年の利用期間で就労準備を整えるのが難しい状況がある中、昨年度は8名が就労した。運営理念として「一人ひとりが地域の一員として、『私』らしく生活しているまちの実現に向け、誰もが地域の中で健康且つ安心・安全により充実した生活を送ることができるように事業を推進する」を掲げている。
<優れている点>
- 健康管理も含め就労支援に特化したサービス
受注作業を中心とした訓練は常に就労を意識し、9名の有償ボランティアが就労訓練パートナーとして利用者と一緒に作業をするなど、就労先に近い作業環境を整えている。また、施設外での作業場所として、特別養護老人ホーム2ヶ所(清掃業務)、一般企業2ヶ所(組立作業)を確保し利用している。就労にあたっては、健康の自己管理が重要と捉え、利用者が通院している各医療機関と連携している。必要に応じて支援員が同行し精神科医など医師から直接状況を確認し、利用者自身が健康管理を自分でできるよう支援している。
- 余暇活動支援
余暇を楽しむ事が就労意欲につながるとし、積極的に余暇活動への取り組みを支援している。希望者を対象に、パソコン教室で楽しみながらソフトの機能を習得し資格に挑戦するなど、本人の自信につなげている。年間を通じ月1回のイベントとして、身だしなみ講座や工場見学、敷地内の喫茶店でのミニコンサート、紅葉狩りやミュージアム見学の外出プログラムなどの余暇支援を、希望者を募って実施している。また、地域交流の一環としてバーベキューやヨガ等のイベントを開催しており、企画から実施スタッフになる利用者を募り、利用者が主体的にかかわり実施している。その他、地域の自治会が主催する盆踊りや地域清掃、お祭りの飾り作りを手伝うなど準備からの参加、また防災訓練での利用者による炊き出し協力など行っている。
- 地域交流
障害を持つ小・中学生を対象に夏休みの期間、家に閉じこもって生活することがないようにとの配慮から、市内の他施設と共同で特別企画を開催している。また、市内の障害者施設等と連携し、大和市在住、在勤の障害児者及びその家族を対象に、和太鼓、クラフト、音楽、ダンスなど余暇支援の様々なイベントを月1回実施している。市内の福祉サービス提供事業所職員及び相談支援専門員などを対象に、高次脳機能障害研修会を主催し、障害をもつ人たちへの理解を深めている。展示、交流スペースを各種団体に開放している。施設内の喫茶コーナー「カフェふらっと」は、地域住民と障害児者との交流の場となっており、年4回の無料コンサート、また施設内のトイレは乳児用のおむつ交換台が設置されており、「みんなのトイレ」として地域住民や子ども達に利用されている。
- 専門職の配置と相談支援事業との連携
社会福祉士1名、精神保健福祉士1名、社会福祉士と精神保健福祉士の両資格を有する職員1名を配置している。支援員は、相談支援事業の相談員と共に他の相談支援事業所やハローワークと連携し、就労と生活の両面で効率的な支援をしている。また、就労移行制度の終了を迎える本人や家族とともに移行先の企業の見学に同行するなどしている。利用者が、実習を経験した利用者が集まる実習交流会に参加することで実習を具体的にとらえられるよう工夫している。ハローワークと連携してのビジネスマナー講座など、他の事業所にも案内を出して年数回就労講座を開催している。
- 他施設との連携
施設外での作業場所4ヶ所の内の1つ、特別養護老人ホームでの清掃業務については、大和市内福祉施設全体の工賃向上、施設外就労の場の確保を目標に、市内5施設との共同受注という形態をとり、事務局となって調整を図っている。施設外作業をする曜日を割り当てられた施設から、支援員1名と利用者3名が施設外作業場所として出向き活用している。何らかの事情で利用者を派遣できなくなった場合は、他の事業所にその日の利用者派遣を依頼するなど調整を行っている。
<改善を要する点:>
- プログラムの工夫
利用者の障害特性が多様化する一方で、受注作業が中心のプログラムの為、個別のニーズに対応する事が困難な状況となっている。その事を捉え、本第三者評価の発展的サービス評価において「利用者の障害特性の多様化に合わせた個別対応とプログラム提供」をテーマに取り組み、具体的な訓練成果を得るに至った。この成果をもとに、新たなプログラム活動創出に向けた取り組みが期待される。
- リスクマネジメントに関するマニュアル整理
リスクマネジメントに関する記述が、健康管理マニュアルなど様々なところに散見される。その重要さを捉えヒヤリハットの取組みが既に開始されているが、仕組みとして裏付けとなる書面をマニュアルとして整える事が期待される。
評価領域ごとの特記事項
人権の尊重
- 副読本とし「利用者対応に関わる共通理解事項資料」を作成し、職員に入職時及び年度初めに説明し周知している。また、障害者虐待をテーマに他事業所にも呼びかけ、年数回の研修を実施している。日々、どんな場合でも虐待行為をしてはならないことを、職員全員が意識して支援している。
- 就労支援を基本にサービス提供しているので、常に就労先のことを意識し、就労先に近い作業環境を整えている。就労しても困らないように、個々の利用者の年齢や状況に応じた言葉遣いについて意識して支援を行っている。
- ほとんどの利用者が携帯電話を持参している。中国籍の利用者はスマートフォンの翻訳機能を活用するなど、各自自分で管理している。家族からなど予め通話することが分かっている場合は、作業中の使用を認めている。
- 部署ごとに「職員意識調査アンケート」等を実施して、人権侵害などと思われる行為がないか振り返りを行っている。また、利用者聞き取り調査を行い、支援について見直す機会をもっている。
意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供
- 利用者の健康、精神状態を把握し、本人にやる気と自信が持てるように支援している。1ヶ月毎に振り返りを行い、3ヶ月毎に定期的な面談を行っている。意見を言いにくい利用者のためには、意見箱を入り口に設置している。第三者委員との個別面談も年2回実施している。精神的ストレスなど本人の様子によっては早目に支援計画を見直し、無理のない計画を作成している。
- 就労支援に特化しているので、利用者は通常はほとんどの時間を作業に集中している。定期面談以外にも希望があれば、昼食時や作業終了後に面談し本人の気持ちを受け止めるよう努めている。その情報を、就労会議や月1回行われるスタッフ会議で、支援員のみならず相談支援事業の相談員とも共有している。社会適応力は大切な視点であり、事業所内の作業だけでなく企業などでの実習で力をつけ自信につながるよう支援している。
- ハローワークと連携してビジネスマナーなどをテーマに、他の事業所にも呼びかけ年数回就労講座を開催している。実習した利用者が集まる実習交流会に参加することで実習を具体的にとらえられるよう工夫している。支援員とともに相談支援事業の相談員が他の相談支援事業所やハローワークと連携し、就労と生活の両面で支援している。
サービスマネジメントシステムの確立
- 事故等発生時の対応を整備し、応急処置、関連部門への報告、及びヒヤリハットの仕組みを職員に周知している。事故報告書やヒヤリハットメモは、安全衛生委員会で再発防止策などを検討した上、法人全体に報告され情報の共有を図っている。ヒヤリハットメモには「あなたならどうしますか?」の欄があり、支援員利用者問わず気がついたことを記載できるよう工夫している。
- 苦情解決システムを、利用契約時に説明し概要を掲示している。利用者には、第三者委員との面談を年2回行い、利用者の声に耳を傾けるよう取り組んでいる。苦情を受けた場合は、部署ごとに経過を追って分析し、第三者委員を交えたワーキンググループで対応や改善のため対策を講じている。
- 利用者は弁当持参を前提としており食事サービスは実施していないが、個々のアレルギー等の特性を把握し、施設内の喫茶等での事故防止を心がけている。年1回栄養士が利用者対象に講習会を開催し、一人暮らしの食事の栄養バランス等についての指導を行っている。入浴サービスは実施していない。排泄介助マニュアルを作成し、尿失禁時の介助に際し、利用者の自尊心を損なうことがないよう支援を行っている。
- 年に1回健康診断及び内科検診を実施、また、口腔ケア教室を開催し、利用者の歯の健康に関する注意を喚起している。利用者が通院している各医療機関の主治医と連携し、日常の体調管理に努めている。健康管理マニュアルを作成し、日常の健康管理と緊急時の対応を明記、併せて感染症マニュアルを毎年全支援員で読み合わせて周知を図るとともに、感染症など関する注意を喚起している。
- 余暇活動を通しての社会体験の積み重ねが、就労意欲にも影響する事を捉え、積極的に余暇活動への取り組みを支援している。ミニコンサートや、紅葉狩り、ミュージアム見学等利用者の希望を捉えて各種の行事を実施している。また、希望者が余暇としてパソコン教室で楽しみながらソフトの機能を習得し、資格に挑戦するなど本人の自信に繋げている。
地域との交流・連携
- 地域の方による有償ボランティア9名を、就労訓練パートナーとして登録し受け入れている。就労訓練パートナーと利用者が一緒に働くことで、企業で働く場合と同じ緊張感のある職場環境を作っている。
- 障害を持つ小・中学生を対象に夏休みの期間、家に閉じこもって生活することがないようにとの配慮から、市内の施設と共同で特別企画を開催し事務局を担当している。また、市内の障害者施設等と連携し、大和市在住、在勤の障害児者及びその家族を対象に、和太鼓、クラフト、音楽、ダンス等の余暇支援の様々なイベントを月1回実施、市内の就労継続支援事業所の利用者を対象に、施設内の喫茶コーナー「カフェふらっと」で接客体験プログラムを毎月実施している。また、市内の福祉サービス提供事業所職員及び相談支援専門員等を対象に、高次脳機能障害研修会を主催し、障害をもつ人たちへの理解促進を図っている。
- 地域住民の交流の場として、会議室や展示、交流スペースを開放している。施設内の喫茶コーナー「カフェふらっと」で地域住民向けに年4回の無料コンサート、また年間を通して障害者等の絵画等作品の展示を行っている。利用者が地域の自治会が主催する盆踊りや地域清掃、お祭りに飾り作りを手伝うなど準備から参加し、また防災訓練で利用者が炊き出しに協力している。施設内のトイレは乳児用のおむつ交換台が設置されており、「みんなのトイレ」と称し地域住民や子ども達が気楽に利用できるトイレとして利用されている。
運営上の透明性の確保と継続性
- 指定管理者としての事業評価を自己評価として行い、年度ごとの重点取り組み課題の達成率など半期ごとに評価している。達成率を明記した資料を全体職員会議に配布し、職員で確認している。事業評価が記載された事業報告書をホームページで開示し、利用者・家族が確認できるようにしている。
- 年2回定期的に、市内の障害者施設や団体の代表、養護学校、ハローワーク、第三者委員、市役所職員等が参加する懇話会を開催し、施設の運営状況等について説明し、事業計画、事業報告の内容について報告している。
- 毎年利用者及び家族へのアンケート調査を行い、日中作業の負担感や作業環境など意見の把握に努め、トイレが暑いといった要望を取り入れ運営の改善につなげている。
職員の資質向上の促進
- 年度ごとの新人職員研修で運営理念及び運営目的について説明し、また、事業計画に運営理念と目的を明記し、職員に周知している。年2回の全体職員会議で理念を取り上げ、理念の実践にむけての職員意識の強化を図っている。
- 職員は年度ごとに目標シートを作成し計画的に自身の能力向上と業務の遂行を図っている。施設長は毎年定期的に職員と面談し、職員の目標シートの達成率を評価、また、理念に沿った職務の遂行だったかどうか確認し理念の周知を図っている。
- 年度ごとに、基礎知識、専門知識、人権擁護、資格取得等の目的別に研修項目を設定した研修管理表を作成している。また、研修成果を振り返り、職員ごとの面接技術や面談技法、ケースカンファレンスのスキル向上などのニーズを整理し、次年度の研修計画に反映している。
- 新任職員の基本的援助技術の習得は、OJTを主体に実施している。2週間の法人内他事業所での実習を含め、主任がOJT指導の責任者となり新人の面接やケースワーク技法の基本的技術の習得を指導している。
- 実習生受け入れに関し、実習内容、評価システム、実習指導体制を明記したマニュアルを準備し、福祉関係学科の学生等を実習生として受け入れている。
評価結果詳細
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